健康診断の受診義務
会社が従業員を雇用している場合、健康診断の実施は単なる福利厚生ではなく、
労働安全衛生法に基づく事業者の義務です。
常時使用する労働者に対しては、雇入れ時の健康診断や、
1年以内ごとに1回の定期健康診断を実施する必要があります。
従業員数が少ない事業所であっても、対象者がいれば実施義務があります。
対象となる「常時使用する労働者」とは、以下2つの要件を満たす者を指します。
①1年以上の長さで雇用契約をしている、または、雇用期間を全く定めていない、
あるいは既に1年以上引き続いて雇用した実績があること。
② 一週間あたりの労働時間数が通常の労働者の4分の3以上であること
また、健康診断は実施して終わりではありません。
会社は、健康診断の結果を記録・保存し、従業員本人に通知する必要があります。
異常所見がある場合には、医師の意見を聴き、
必要に応じて勤務内容や労働時間の見直しなどを検討することも求められます。
健康診断については、会社に実施義務があるだけでなく、従業員にも受診義務があります。
従業員が会社指定の健康診断を受けたくない場合でも、
別の医師による健康診断を受け、その結果を会社へ提出する必要があります。
そのため、「忙しい」「受けたくない」といった理由だけで受診を拒否することは、基本的には認められません。
従業員が健康診断を受けない場合、会社はそのまま放置せず、
健康診断が法律上必要なものであることを説明し、受診を促す必要があります。
日程の再調整や、外部医療機関での受診を認めるなど、受診しやすい方法を検討することも大切です。
それでも受診しない場合に備え、会社が受診を案内・催促した記録を残しておくとよいでしょう。
法律上、会社に実施義務がある健康診断については、原則として会社が費用を負担すべきものと考えられます。
また、受診時間の取扱いについても、勤務時間内に受診させる、または賃金控除をしないなど、
従業員が受診しやすい運用にしておくことが望ましいです。
健康診断は、従業員の健康管理だけでなく、会社が安全配慮義務を果たすうえでも重要な制度です。
会社側は対象者に健康診断を実施し、結果の保存・通知・必要な事後対応まで行う必要があり、
従業員側にも受診義務があるため、社内規程や案内文でルールを明確にしておくことが大切です。
