中小企業退職金共済の活用
2026.07.31
大阪事務所
従業員の採用や定着を考えるうえで、退職金制度は重要な福利厚生の一つです。しかし、中小企業が自社だけで退職金の原資を準備し、長期間にわたって管理することは簡単ではありません。そこで活用を検討したいのが、「中小企業退職金共済制度」、いわゆる中退共です。
中退共は、中小企業が従業員のために毎月掛金を納付し、従業員が退職した際に、中退共から本人へ直接退職金が支払われる制度です。会社の内部に資金を積み立てるのではなく、外部に積み立てる仕組みであるため、退職金の準備状況が明確になり、会社の資金繰りの都合で退職金を支払えなくなるリスクを抑えられます。また、支払った掛金はその全額を経費とすることができる点もメリットの一つになります。
掛金月額は、従業員一人につき5,000円から30,000円の範囲で選択できます。一定の短時間労働者については、2,000円、3,000円、4,000円の特例掛金も用意されています。従業員の勤続年数や役職などに応じて掛金を設定することも可能ですが、従業員は原則として全員を加入させる必要があり、掛金の全額を事業主が負担しなければなりません。
掛金の増額は比較的柔軟に行えますが、減額には原則として従業員本人の同意が必要です。業績が悪化したからといって、会社の判断だけで自由に掛金を引き下げられるわけではありません。加入時には、現在の利益だけでなく、将来も継続して負担できる掛金額を設定することが重要です。
このように、中退共は中小企業にとって退職金制度の導入における有効な選択肢の一つです。従業員の定着や福利厚生の充実を考えている場合、検討する価値があるでしょう。
