配偶者の税額軽減制度
2021.07.21
大阪事務所
相続税の控除制度のうち、最も控除額が大きく利用される機会が多いのが「配偶者の税額軽減制度」です。
この制度は、被相続人の配偶者が遺産分割や遺贈により実際に取得した正味の遺産額が、次の金額のどちらか多い金額までは配偶者に相続税はかからないというものです。
- 1億6千万円
- 配偶者の法定相続分相当額
相続財産が4億円で法定相続人が配偶者と子1人である場合・・・
1億6千万円 < 4億円×1/2=2億円
⇒配偶者は2億円まで相続税が課されません
相続財産が2億円で法定相続人が配偶者と子1人である場合・・・
1億6千万円 > 2億円×1/2=1億円
⇒配偶者は1億6千万円まで相続税が課されません
つまり配偶者は最低1億6千万円までは相続税がかからないことになります。
ただし、配偶者に大きな優遇措置があるからといって、遺産の大半を配偶者に相続させることは一概に有利とはいえません。
なぜなら、配偶者が亡くなった際の二次相続において、子などの相続人が多額の相続税を納付しなければならなくなる可能性があるためです。
一次相続では配偶者が今後安心して暮らしていけると思える金額を相続させることが無難だと考えられます。
配偶者の税額軽減制度は納税額の軽減に大いに有効ですが、一次相続だけでなく二次相続のことも考え、慎重に財産を分割していくことが重要です。