所得拡大促進税制 ―平成30年度税制改正―
2019.05.31
大阪事務所
従業員の給与を増額すると法人税額が減額される「所得拡大促進税制」が平成30年度税制改正において法人税の税額控除率を拡充したほか、計算方法が簡素化されました。平成30年4月1日から平成33年3月31日までの間に開始する各事業年度に適用されます。
ここでは中小企業者等(資本金1億円以下で一定の要件を満たす法人)向けの改正をご紹介致します。
<改正のポイント>
- 賃上げ(前年度比1.5%以上)を行った場合、従来の制度から控除率を拡充(10%→15%)。
- 基準年度(平成24年度)の給与総額との比較の廃止や、「継続雇用者」の定義を見直し計算方法を簡素化。
- 賃上げ(前年度比2.5%以上)に加え、人材投資または生産性向上に取り組む企業には、上乗せ措置(控除率25%)を実施。
<要件>
- 継続雇用者給与等支給額※1 ≧ 継続雇用者比較給与等支給額※2×101.5%
※1…適用年度及び適用年度開始の日の前日を含む事業年度の期間内の各月において給与等の支給がある国内雇用者に対する適用年度の給与等の支給額として政令で定める金額
※2…適用年度及び適用年度開始の日の前日を含む事業年度の期間内の各月において給与等の支給がある国内雇用者に対する前事業年度等の給与等の支給額として政令で定める金額
<税額控除>
- (雇用者給与等支給額-比較雇用者給与等支給額)×15%
<上乗せ措置>
- 継続雇用者給与等支給額が前年度比2.5%以上増加、かつ、一定の要件※3を満たす場合
→給与総額の前年度からの増加額の25%を税額控除
※3…以下のいずれかを満たす場合
①教育訓練費(国内雇用者の職務に必要な技術又は知識の習得又は向上のための費用)が前年度比で10%以上向上
②中小企業等経営強化法に基づく経営力向上計画の認定を受けており、経営力向上が確実に行われていること
今回の改正で適用の要件がわかりやすくなり、継続雇用者の範囲が絞られることで平均給与等支給額の算定の事務負担も軽減されました。また、税額控除割合も増加されたことにより賃上げや教育訓練等に力を入れる中小企業も多くなってくるでしょう。
自社が所得拡大促進税制の要件を満たしているか否か、また、どれぐらいの税額控除を見込めるのか、弊社にてお調べ致しますので気軽にご相談ください。