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令和5年度の査察調査まとめ

2024.07.02 大阪事務所 基本業務 その他の業種特化

令和5年度の国税庁の発表資料から、脱税の厳正な取締りとその結果についてまとめました。

 

1. 査察制度の目的
国税査察制度は、悪質な脱税者に対する刑事責任を追及し、その一罰百戒の効果を通じて適正・公平な課税の実現と申告納税制度の維持に寄与することを目的としています。

国税査察官は、経済取引の広域化、デジタル化、国際化などによる脱税の手段・方法の複雑化に対応し、悪質な脱税者に対して厳正な調査を実施しています。

 

2. 令和5年度の取組
検察庁への告発件数: 101件
脱税総額: 89億円
告発率: 66.9%

 

3.主要な事案
①消費税事案
・ 高級腕時計のシリアルナンバーや不正入手したパスポートの写しを用いて書類を偽造し、架空の課税仕入れや輸出免税売上を計上していた。
 ・コンビニエンスストアで免税商品について虚偽のパスポート情報を用いて架空の輸出免税売上を計上。

②無申告事案
・アフィリエイト事業の収入を隠匿し、虚偽のコンサルティング契約書を準備して確定申告書を提出しなかった。
・タトゥースタジオ経営者が知人や親族名義の預金口座を使用して所得を隠匿。

③国際事案
・外国法人を利用して未公開株式の譲渡収入を海外法人の収入として装い、所得税を免れていた。
・架空の経費を計上することで法人税及び消費税を免れ、得た資金の大半を海外での生活費やギャンブルに充当。

④社会的波及効果の高い事案
・脱税請負人が虚偽の経費を計上するスキームを節税とうたって広く納税者に利用させていた。
・インターネット上で物品転売やノウハウ指南を行う者が架空の経費計上や売上除外で所得税や法人税を免れていた。

 

4.一審判決の状況
有罪判決: 83件中全件
実刑判決: 9人
最重実刑判決: 懲役4年(単独)、懲役6年(併合罪)

 

5.判決例
消費税不正還付: 架空の輸出免税売上を計上し、不正に消費税還付を受けたドラッグストアの代表者に懲役4年、不正加担者に懲役3年の実刑判決。
詐欺・横領: 詐欺、業務上横領により得た収入を除外して所得税を免れた者に懲役6年の実刑判決。

 

6.不正資金の使途と隠匿場所
使途: 高級車両の購入、有価証券への投資、暗号資産の購入、ギャンブル、飲食等の交際費。

隠匿場所: 天井裏、階段下収納、蔵の木箱、銀行の貸金庫。

 

令和5年度の国税査察では、消費税事案や無申告事案、国際事案など、多岐にわたる脱税事案に対して厳正な調査と対応が行われたようです。特に社会的波及効果の高い事案に積極的に取り組んでいて、全ての一審判決において有罪が言い渡されるなど、その効果が現れています。

 

税理士と契約していないけど、税務調査に入られて困っている納税者の方がいらっしゃいましたら、弊社までご相談ください。

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