インボイス特集その4 ~現在簡易課税事業者の方~
2022.01.24
高槻事務所
今回は現在、消費税の簡易課税制度を適用されている事業者に対するインボイス制度の
影響について解説いたします。
・簡易課税制度とは
簡易課税制度とは、原則的な消費税の計算(課税売上高に対する消費税から課税仕入に対する消費税を差引いて
納税額を計算する方法)ではなく、課税売上高をベースに納税額を算定するという制度です。
具体的には、事業ごとに定められた一定割合(90%~40%)を課税売上高に対する消費税額から
差引いて納税額を計算します。適用にあたっては基準期間の課税売上高が5,000万円以下や、簡易課税制度の
適用を受ける旨の届出書を事前に提出しておく等の条件があります。
・簡易課税事業者へのインボイス制度の影響
上記の通り、売上高に対する消費税の金額だけで消費税の納税額が決まるため、実際の課税仕⼊れ等に係る
消費税額自体を計算・集計は必要ありません。そのため、簡易課税制度の適用を受けている事業者については、
仕入れの場面では適格請求書の保存も必要ないと考えられるため、インボイス制度導入の影響は
受けないのではないかと思います。
・適格請求書発行事業者の登録
簡易課税適用者であっても、売上の取引先に対して「適格請求書(インボイス)」の発行を求められ、
発行する必要が生じる場面がでてくるかと思います。したがって、適格請求書発行事業者の登録手続きを行い、
適格請求書を発行するのが通常であると考えられます。ただ、顧客が一般消費者のみの場合であれば、
取引先が消費税の計算をすることがないため、必ずしも適格請求書を交付する必要はなく、
適格請求書発行事業者の登録をせずとも影響はないケースが想定されます。
インボイス制度特集