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インボイス特集その1  ~買手側の注意事項~

2021.12.13 高槻事務所

1.免税事業者への対応

 インボイスの発行ができるのは、登録を受けた適格請求書発行事業者に限られます。適格請求書発行事業者は消費税の

課税事業者でなければ、その登録を受けることはできません。つまり、消費税の免税事業者はインボイスを発行する

ことができないため、免税事業者への支払いは仕入税額控除ができないということです。

免税事業者に11万円の支払いをする場合、今までなら1万円を消費税の納税額から控除できたのが、

インボイス制度の下では控除できず、実質的に支出額が10%増加となります。

買手側が損をしないためには、どういった対応が必要となってくるでしょうか。

 

①課税事業者を選択してもらう

 支払先が免税事業者から課税事業者となり、適格請求書発行事業者の登録を受ければ、現行の制度と同様に

仕入税額控除が可能となります。

 

②取引価格の見直し

 インボイス制度が始まっても、支払先が免税事業者のままなら、仕入税額控除をすることができません。

そのため、免税事業者との取引では、仕入税額控除ができないことを考慮した価格の設定の必要があるでしょう。

 

③取引業者を変更する

上記二つの対応が取れない場合には、買手側の支出が増えてしまいます。そういった場合には、

適格請求書発行事業者である他の事業者へ取引先を変更する必要が出てくるかもしれません。

 

 いずれの対応も、免税事業者である取引先の負担が増える対応となります。取引先との関係性によっては、

上記の対応をとらずに、買手側の負担を増やす必要もあるかもしれません。インボイス制度が始まりますと、

料金の設定でのトラブルが想定されます。はやめはやめに、取引先との話合いを進めておくことが推奨されます。

また、免税事業者への対応は考慮すべき事項が多くなりますので、今後新しく取引を開始する事業者が免税事業者

なのかどうか注意する必要が出てくるでしょう。

 

2.事務作業の増加

 インボイス制度下では、仕入税額控除をするためにインボイスを保存しなければなりません。そのため、

受領した領収書・請求書がインボイスであるのかを確認する必要があります。インボイスには「T+13桁」の登録番号が

記載されます。領収書・請求書にこの登録番号がなければ、仕入税額控除をすることができません。

また、適格請求書発行事業者でないのに、

偽の登録番号を記載した請求書を発行する事業者が現れることが懸念されます。記載された登録番号が正しかは国税庁の

公表サイト(https://www.invoice-kohyo.nta.go.jp/)で確認することができます。こういった

確認の作業の手間が増加することが予想されます。

 

 免税事業者への対応、事務作業の増加という二つの注意事項を説明させて頂きました。インボイス制度が開始すれば、

間違いなく考慮すべき事項や事務負担は増加します。

ただ、簡易課税制度を適用すれば、ほぼ現行の制度と同様の扱いとなります。

仕入税額控除の額、事務負担の大きさを考慮して、選択可能ならば簡易課税制度を適用することもひとつの手段です。

 

 インボイス制度の開始まで約2年となりました。開始後数年間は経過措置があり、免税事業者への支払も一定額までは

仕入税額控除が認められます。しかし、今までのように全額が控除はできなくなります。

あと2年の間にインボイス制度へ向けて準備を進めて行きましょう。

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