「清算」「破産」の事業年度
会社が純資産を残したまま自主的に整理を進める手続きを「清算」、
支払不能かつ債務超過の状態である場合に裁判所の関与のもと整理を進める手続きを「破産」といいます。
いずれの場合でも、会社が解散してから残余財産の分配が完了するまでの間は法人税などの各種税務申告が必要です。
申告期限は原則として事業年度終了後2か月以内、残余財産が確定した場合は1か月以内です。
ただし、解散後の「事業年度」の考え方は法人の形態や清算・破産の別などによって異なります。
以下では具体例をもとに申告スケジュールを確認してみます。
【例】
3月決算の法人がX8年12月31日に解散し、X10年5月31日に残余財産が確定した場合
① 株式会社・有限会社・一般社団法人・一般財団法人(以下「株式会社等」)が清算する場合
・解散事業年度:X8/4/1~X8/12/31(X9/2/28までに申告)
・清算事業年度:X9/1/1~X9/12/31(X10/2/28までに申告)
・残余財産確定事業年度:X10/1/1~X10/5/31(X10/6/30までに申告)
② 持分会社(合同会社・合名会社・合資会社)や協同組合など、「株式会社等以外」が清算する場合
・解散事業年度:X8/4/1~X8/12/31 (X9/2/28までに申告)
・清算事業年度:X9/1/1~X9/3/31 (X9/5/31までに申告)
・清算事業年度:X9/4/1~X10/3/31 (X10/5/31までに申告)
・残余財産確定事業年度:X10/4/1~X10/5/31 (X10/6/30までに申告)
③ 法人が破産する場合
・②と同様
「株式会社等の清算」以外の場合は申告回数が1回多くなっていますが、
これは各法人の根拠法令に「清算中の会計期間」が定められているかどうかの違いによるものです。
このように「どの形態の会社が」「どのように」「いつ」解散するかによって必要となる手続きや申告回数が変わることがあります。
解散の時期を調整することで結果的に申告回数を抑えられるケースも考えられますので、
法人廃業を検討する際にはお早めに弁護士や税理士などの専門家に相談されることをおすすめします。
<法令解説>
法人税法第13条では事業年度を法人の財産及び損益の計算の単位となる期間で法令または定款等に定められた期間と定義しています。
また、第14条では法人が事業年度の途中で解散した場合にはその解散の日をもって事業年度が終了すると定めています。
このため、法人が解散した場合にはいずれの場合でもその時点で事業年度が区切られ原則として2か月以内の申告が必要となります。
一方、解散後の事業年度については法人の種類などによって取扱いが異なります。
株式会社・有限会社については「会社法」、一般社団法人・一般財団法人については「一般社団財団法」により
清算中の会計期間は「解散の日の翌日から1年ごと」と定められています。
この期間が法人税法第13条にいう「法令に定められた期間」に該当し、法人税法上の事業年度として取り扱われます。
これに対し株式会社等以外の法人や破産については、解散後の会計期間に関する法令上の定めがありません。
そのため、「定款等に定められた本来の会計期間」(上記の例では3月決算)が引き続き法人税法上の事業年度となります。
(法人税法基本通達1-2-9)
