美容院とインボイス
今回は理美容業とインボイスについて確認します。
①課税事業者の場合
課税事業者の場合、基本的にインボイス制度に登録することになります。
ただし、インボイス制度登録に伴う事務手続きの煩雑さから、敢えてインボイス制度に登録しないことも
レアケースですが想定されます。美容院では一般的には消費者が顧客となるため、インボイス番号が記載された
領収書を求められることは多くないでしょう。しかし、撮影や講演などのために事業用にスタイリングを
依頼するケースではインボイス番号を求められることも想定され、そのような売上が生じる可能性のある
店舗の場合には、やはりインボイス制度に登録するのが無難と言えるでしょう。
②免税事業者の場合
免税事業者の場合、インボイス制度に登録するか否かは綿密に計画しなければなりません。
先述の通り、事業用として利用する顧客が多い店舗では、負担が増えることとなってもインボイス制度への
登録が経営上有利となることもあるかもしれません。その場合、経営者としてはこれまでに比べて実質的に
負担が増えることになるため、値上の検討など経営に大きな影響を及ぼすことにもなるでしょう。
この場合、簡易課税制度を活用することで消費税納税の負担が軽減されることもあります。
ただし、単に負担の増減だけではなく、売上減少懸念や社会的な流れなど、どこに優先順位を置くかは
各経営者の判断であり、千差万別です。
いずれにしてもインボイス登録による影響を経営者自身が理解し、選択することが重要です。
③業界特有の論点
店舗によっては、美容師等と業務委託契約を締結し、事業主から美容師へ給与ではなく外注費として
報酬が支払われていることも珍しくありません。
この場合、①事業主と美容師いずれもインボイス制度に登録するケースか、②事業主がインボイス制度に登録し、
美容師は登録しないケースがほとんどになるかと思いますが、①のケースの場合、
インボイス制度の開始前後でそれほど大きな影響はありません。
後者の②の場合には注意が必要です。これまで通りの条件で営業を続ける場合、美容師側にインボイス制度に
登録してもらうか、もしくは条件を見直して新たに報酬を支払うことが必要になります。