分掌変更した際の退職金
2022.05.31
大阪事務所
基本業務
お客様から「事業承継する際、前社長には会長職に就いてもらい会社に残ってもらいたいのだが、退職金は支給できるのか」とご相談を受けることが度々あります。
分掌変更によって役員としての地位や職務の内容が激変して、実質的に退職したと同様の事情にある場合に退職金として支給したものは、税務上も退職金として取り扱うことができます。具体的には次のケースです。
(1) 常勤役員が非常勤役員になったこと。
ただし、常勤していなくても代表権があったり、実質的にその法人の経営上主要な地位にある場合は除かれます。
(2) 取締役が監査役になったこと。
ただし、監査役でありながら実質的にその法人の経営上主要な地位を占めている場合や、使用人兼務役員として認められない大株主である場合は除かれます。
(3) 分掌変更の後の役員の給与がおおむね50パーセント以上減少したこと。
ただし、分掌変更の後においても、その法人の経営上主要な地位を占めていると認められる場合は除かれます。
※未払金に計上したものは、原則として退職金に含まれません。
ポイントとなるのは、「分掌変更後も経営上主要な地位を占めているかどうか」です。
その判断基準は、「法人株式の保有状況」「出勤頻度・勤務時間」「借入金の連帯保証人になっているかどうか」「主要な取引先への影響」「人事採用への影響」「支店等の設置・廃止への影響」これらを総合的に勘案して判断されます。
「実質的にその法人の経営上主要な地位を占めて」おらず、「実質的に退職したと同様の事情にある」ことが明らかだとわかるように、形式面も実態面も事前に整えておくことが重要です。