飲酒運転防止のための企業に求められる取り組み
先日、カーシェアで車を借りたところ、ダッシュボードにアルコールチェッカーが格納されていました。
運営会社が、飲酒運転防止のために対策をしているというアピールでしょう。
では、従業員を雇用する会社としてはどのような取り組みが法律上必要でしょうか。
企業は、従業員の飲酒運転を防止するために、道義的な配慮だけでなく、法律上も対策が求められています。
【対象となる企業の業種】
飲酒運転防止の法律上の義務が明確に定められているのは、
旅客や貨物を運ぶ「運送業」など、自動車を使って人や物を運ぶことを業としている事業者です。
たとえばバス、タクシー、運送会社などが該当します。
しかし、運送業でなくても、営業担当が車で取引先に向かう場合や、
建設現場での移動、出張など、業務で車を運転する従業員がいる場合、企業には一定の責任が発生します。
たとえば、社用車や業務車両を使用させている場合は、
その使用状況を把握し、飲酒運転を防止する体制を整えることが求められます。
【対象となる従業員】
明確な義務の対象は、事業用車両(いわゆる「緑ナンバー」「黒ナンバー」)を運転する従業員ですが、
一般の企業で社用車(「白ナンバー」)を使用して営業活動や現場移動を行う従業員も、飲酒運転防止の対象となります。
一方で、私用車での通勤中の飲酒運転については、直接の業務ではないため、企業の法律上の責任はありません。
ただし、会社の飲み会等に参加していたり、酒気帯び状態で会社の敷地を出入りしていたりする場合には、
企業としての指導責任が問われる可能性もあります。
【企業に求められる主な取り組み】
企業が法律に基づいて求められる、または実務上必要とされる主な取り組みは以下のとおりです。
・運送業の場合、運転前後の点呼を行い、飲酒の有無を確認する
・アルコール検知器を使用して、客観的に確認・記録を残す
・検知器の定期的な点検・管理を行う
・安全運転管理者を選任し、運転者の管理を行う
・就業規則に飲酒運転禁止を明記し、従業員に誓約書を提出させる
・飲酒運転防止に関する社内教育を定期的に行う
・違反があった場合は厳正に処分し、再発防止策を講じる
運送業に限らず、5台以上の社用車を有する場合や11人以上乗車可能な車両を保有する場合は、
企業(事業所)が飲酒運転を防止する措置を取る義務があります。
たとえ業として人や物を運んでいなくても、会社が保有する車両について、会社はその運転の管理責任を負います。
飲酒運転による事故が発生すれば、企業の信用失墜だけでなく、法的責任も問われかねません。
万が一に備えるのではなく、日頃からの教育とチェック体制が重要でしょう。
