税関手続きの流れと注意点
関税とは、一般に「輸入品に課される税」と定義されています。
つまり、商品などを輸入した場合には、関税がかかる可能性があります。
今回は、税関での関税納付までの流れと注意点についてご説明いたします。
(1) 輸入通関までの流れ
外国から輸入した貨物は保税地域に搬入されます。
輸入した貨物を引き取るには、保税地域を管轄する税関長へ輸入(納税)申告を行う必要があります。
検査が必要であるとされた貨物については税関調査が行われた後、
輸入(納税)申告に記載した関税等の金額を納付して、輸入の許可を受けることになります。
この一連の流れを輸入通関といいます。
(2) 関税が対象になる輸入貨物
輸入貨物の中には、一部無税品と呼ばれる関税の課されない貨物がありますが、
無税品でない限りは関税が課されます。
(主な無税品としては、鉄鉱石、羊毛、綿花。写真用フィルム、ゴムタイヤなど)
しかし、輸入貨物が一定の条件に該当する場合には関税の全部又は一部が免除されます。
関税納付済みの貨物が一定の条件に該当する場合には、納付した関税の全部又は一部を
払い戻す制度があります。
<主な関税減免戻税>
・無条件免税:外国旅客の携帯品、身体障碍者用物品、1万円以下の少額物品など
・特定用途免税:学術研究用、社会福祉用の寄贈品など
(3) 関税はどのように納付するのか
通関業者に上記業務の代行を依頼した場合には、関税納付まで代行して行ってもらう
ことができます。業者を利用しない場合は、輸入者自ら税関へ出向き、輸入(納税)申告書
を提出し、税関調査が行われた後、納付書が返却されるので、銀行や郵便局の窓口で納付
することになります。その後、納付済領収書を税関に提出することで輸入が許可されます。
最近では、NACCSと呼ばれる電子による通関処理手続きがあり、NACCSにより輸入
(納税)許可書を提出した場合には、口座振替方式により関税等を納付することができ、納付と
同時に輸入は許可されます。つまり、NACCSを利用すれば税関へ行く必要がなくなります。
(4) 関税の調査と罰則
輸出入取引について税関による事後調査が行われることがあり、適切に納税申告ができておらず
納税ができなかったことが発覚した場合には、多額の納税が課されたり、最悪の場合は犯罪として罰せられます。
そのため、きちんと通関業者を利用されることをお勧めいたします。
また、外国子会社からの輸入や設備機械などの移動にも関税は課されますので、
通関業者を利用して申告漏れのないようにしましょう。
関税について税理士は税務代理をすることはできませんが、
事後調査に立ち合い、調査での資料探しや、調査官への取引流れの説明・質問対応のお手伝いをすることはできます。