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労働時間の範囲

2024.01.22 高槻事務所

 昨今、労働時間に関する問題が注目されています。

労働時間は、労働基準法で1日8時間、週40時間という上限が定められています。

労働時間の定義について、労基法では定められていませんが、厚生労働省が公表している

ガイドラインでは下記のように示されています。

 

① 労働時間とは、使用者の指揮命令下に置かれている時間のことをいい、使用者の明示 

 又は黙示の指示により労働者が業務に従事する時間は労働時間に当たるといえる。

② 使用者の指揮命令下に置かれていると評価される時間については、労働時間として取り扱う。

 なお、労働時間に該当するか否かは、労働契約や就業規則には左右されず、その状況から客観的に

 見て個別具体的に判断される。

③ 労働時間には、業務に必要な準備行為(着替え時間等)や業務に関連した後始末(清掃等)、

 待機等のいわゆる手待時間、業務上義務付けられている研修・教育訓練の受講・学習等の

 時間を含むものとする。

 

 以上のように、労働時間には文字通り働いている時間だけではなく、使用者の指揮命令下に

置かれている時間も含みます。つまり、会社の指示で参加を求められている社内行事や

イベントの参加時間なども労働時間となります。

 

 また、手待時間や電話番の時間のように業務上待機が必要な場合には、直接指示を受けていない時間で

あったとしても、黙示的な支持があったものとして労働時間に含めなければなりません。

 逆にいえば、指揮命令下に置かれていない時間については労働時間に該当しません。例えば着替え時間について、

業務の都合上会社での着替えが強制されている場合には労働時間に含まれます。しかし、従業員都合での着替えや

通勤時に制服等の着用が認められている場合には労働時間に含まれないと解釈されています。

 また、出張先に出向くための所定労働時間外の移動時間について、移動中に自由に行動が許されている場合

には、労働時間に含まれません。これに対し、その移動中に業務をしなければならない場合や、移動中に指示が

あった際にすぐに対応しなければならない場合には労働時間に含まれます。

 

 本来労働時間とされている時間を含めずに賃金を支払っていた場合、従業員にその時間分の賃金を請求される

可能性があります。賃金請求権の消滅時効は5年(当分の間3年)とされているため、従業員はその期間の賃金を請求する

権利を有しているということになり、使用者は請求された場合には支払い義務があります。

 

 近年は、SNSによる内部告発が多発しているという背景もあるため、より一層適正に労働時間を算出

することが求められるでしょう。

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