令和5年度税制改正 ~暦年課税制度~
2023.06.26
高槻事務所
相続等の申告とコンサルティング
令和5年度税制改正では、贈与税に大きな改正が入りました。
贈与税には暦年課税制度と相続時精算課税制度の2つの制度があり、両制度とも改正点があるのですが、
今回は暦年課税制度についてご紹介いたします。
1. 改正内容
相続開始7年前(現行:3年前)に取得した贈与財産の価額を贈与税の課税価格に加算する。
なお、今回の改正で加算期間が延長される4年間に取得した贈与財産総額のうち、100万円までは
相続税の課税価格への加算は不要。(この加算不要の100万円は、贈与者ごとの贈与財産価額から控除)
2. 適用時期
令和6年1月1日以降に贈与に取得する財産
3. 経過措置
・令和6年1月1日~令和8年12月31日の間に相続又は遺贈により財産を取得する者に
ついては「7年」を「3年」とする。
・令和9年1月1日~令和12年12月31日の間に相続又は遺贈により財産を取得する者に
ついては「7年」を「令和6年1月1日から当該相続開始の日までの間」とする。
4.具体例
毎年110万円を10年間贈与した後、相続が発生したとします。
(改正前)
累計贈与税額は0円
相続財産への加算額は330万円
(改正後)
累計贈与税額は0円
相続財産への加算額は770万円
本例の場合、改正前であれば、贈与税額と相続税額を合計して考えると相続時精算課税制度よりも
暦年課税の方が納税額は少ないという結果になります。
しかし、改正後は結果として精算課税を選んだ方が納税額は少ないという結果となりますので、
今後、生前贈与による節税を検討されている方は、暦年課税と相続時精算課税制度の
どちらの方が有利であるかをシミュレーションすることをお勧めいたします。