自宅の相続税評価「小規模宅地等の特例」②
2022.10.24
高槻事務所
相続等の申告とコンサルティング
以前に、「自宅の土地建物は相続税評価額が最大80%減額される」というコラムを掲載しました。
小規模宅地等の特例という制度のお話でしたが、自宅を相続する人によっては、この特例を使えないケースがあります。
次の家族構成で考えてみましょう。
例)家族構成:亡くなった父、母、姉(同居)、弟(別居)
- 同居していた親族が相続するケース
父と同居していた姉が、自宅を相続する場合には、次のことを満たすことが必要です。
・相続税の申告期限まで相続した自宅に住み続けること
・相続税の申告期限まで相続した自宅を所有していること
相続税の申告期限とは、相続開始から10ヶ月の期間です。
それまでに、自宅を売却したりすると、この特例が使えなくなります。
- 別居していた親族が相続する場合
父と別居をしていた弟が、自宅を相続する場合には、次のことを満たすことが必要です。
・被相続人に配偶者がいないこと
・被相続人に同居親族がいないこと
・持家を所有していないこと
・相続税の申告期限まで相続した自宅を所有していること など
例にあげている家族の場合、母が健在で、さらに父と同居していた姉もいますので、別居をしていた弟は
特例を使うことができません。
別居していた親族に特例を使うのはかなりハードルが高いです。
- 配偶者が相続する場合
母が自宅を相続する場合には、①②のような要件は特にありません。
別居をしていても、すぐに自宅を売却しても、特例を使うことができます。
小規模宅地等の特例は使えるか使えないかで相続税の額が大きく変わります。
高槻市の地価ですと、特例の使用可否で相続税に数百万円の差が出ることも考えられます。
誰が相続するかは、相続税の額だけで決まることではありませんが、相続税の負担を抑える
という観点から相続を考えることも大切かと思います。