経営者が急逝した場合の配偶者の注意事項
もしも会社経営をしている方が突然他界してしまった場合、
配偶者の方はどのようなことに注意が必要となるのでしょうか。
今回は大きく3つご紹介いたします。
①ご自宅を承継した場合の特例について
相続によって配偶者の方がご自宅を承継する場合、
相続税負担が重すぎることにより、以前より住んでいたご自宅に住み続けられなくなってしまう恐れがあります。
そこで、相続税負担の軽減策として小規模宅地等の特例という制度が活用できます。
こちらの制度を使えば相続したご自宅に係る相続税を80%減額することができます(最大330㎡まで)。
この特例の適用要件に関して、配偶者の方が取得した場合には基本的に要件なしで適用することができます。
しかし、同居していた親族が取得した場合には申告期限まで住み続け、
所有し続けることが適用要件となるため注意が必要です。
このほか、持ち家のない別居親族でも適用できるケースもありますので詳細は国税庁HPにてご確認ください。
②健康保険と公的年金について
配偶者を亡くした方が受け取ることができるものとして、遺族基礎年金と遺族厚生年金があります。
これらの2つは亡くなった方がそれぞれ国民年金と厚生年金に加入しており、
一定の要件を満たすことで遺族の方が受け取ることができます。
これらの公的年金を受け取るためにはご自身で年金事務所等に請求手続きを行う必要があります。
通常の老齢年金や生命保険会社などから受け取る個人年金については、
総合課税の雑所得として課税対象になりますが、遺族年金については非課税となります。
また、亡くなった方の被扶養者となっていた場合には、
配偶者の方自らで、国民健康保険や国民年金に加入する必要があるため注意が必要です。
③ 死亡退職金と弔慰金について
死亡退職金と弔慰金は相続財産の計算上、異なる取り扱いになります。
死亡退職金とは亡くなったことにより支払われる退職金のことで、
相続税法上、みなし相続財産として相続財産に含めて計算されます。
これは、本来亡くなった方が生前に受け取るはずだった退職金が
死亡により相続人に支払われるものと解釈されるためです。
また、死亡退職金には非課税枠が設けられており、「500万円×法定相続人の数」までの金額の場合には、
相続税が課されません。
これに対して弔慰金とは、被相続人の死亡により遺族に支払われるお金のことで、
業務上死亡の場合には普通給与の3年分、業務外死亡の場合には普通給与の6ヶ月分の非課税枠があります。
この金額を超える場合や実質的に死亡退職金と判断される場合には、死亡退職金として課税対象となります。
もしもご自身や配偶者の方の身に何かがあった場合に、
必要な手続きや考慮すべきことについて事前に確認しておくと良いかもしれません。
実際に相続が起きてしまった場合や、事前に相続対策をしたい場合には
税理士法人イースリーパートナーズにご相談ください。