資格の取得に関する経費性
2022.07.11
高槻事務所
専門性を求められる仕事では、資格の取得が必須である場合があります。多くの会社では業務の一環として、
従業員に試験や講座を受けに行かせ、受験代等は会社負担にすると思われます。
場合によっては専門学校に通わせることもあるかもしれません。
この場合の費用については大原則として、その出費が事業に関係しているものについては
経費として認められますが、必ずしもすべてがそうとは限りません。
①経費の可否について
個人事業主の場合は、自分が通うために費用については経費と認められない可能性があります。
平成29年の裁判では、接骨院を営む事業者が柔道整復師の資格を取得するために専門学校に支払った学費については、
経費にできないとの判決が出されました。一見すると業務に関係する経費のようにも思えますが、
資格の取得は個人自体の価値が増加したと考えられ、直接業務には関係ない家事費だと判断されました。
②経費か給与か
①とは逆に、従業員に資格を取らせる場合はどうでしょうか。この場合、従業員が払う受講代等を
使用人が渡したと解釈され、給与を支給したと同じ扱いになります。
そのため経費にはなりますが、給与に対して所得税が発生してしまいます。
ただし、通達により以下のものについては給与扱いされず、経費にすることができます。
(1) 仕事に直接必要な技術や知識を役員や使用人に習得させるための費用であること。
(2) 仕事に直接必要な免許や資格を役員や使用人に取得させるための研修会や講習会などの出席費用であること。
(3) 仕事に直接必要な分野の講義を役員や使用人に大学などで受けさせるための費用であること。
職務に必要な技術などを取得する費用を支出したとき 国税庁HPより