相続に関する失敗事例その3 ~平等を優先にした後悔~
今回も相続税が発生する・しないに関わらず起こりうる失敗事例をご紹介します。
財産を相続人間で平等に分配するのが理想ですが、そればかりを追求すると後で痛い目に遭うことがあります。
被相続人:長女A 両親は既に他界、Aに配偶者・子どもはいない
法定相続人:長男B、次女Cの2人
相続財産:自宅と預貯金数百万円
家の活用方法が見当たらなかったので、取り敢えず家は取り壊して空き地にしておこうということになりました。
平等に財産は分配したかったので、BとCで持分は2分の1ずつ共有で相続することになりました。
しかし、土地の活用方法を巡って2人は対立することになります。Bは土地を売却してすぐにでも
お金に替えたいと主張する一方、Cは新しく賃貸マンションを建てて収益化したいと主張しました。
この対立が元で2人は疎遠になってしまいました。
さらに、数年後Cが亡くなりました。Bは今度こそ土地が売れると考えていましたが、
Cの持分はCの夫と子ども4人に相続権があります。売却するのに5人も同意が必要になることを知った
Bは諦めてしまい、相続登記は面倒だからと誰も手続きしませんでした。
その後Bも亡くなり、現在この土地に一体何人の所有者がいるのかわからなくなっています。
不動産の共有は確かに財産の平等な分配方法の一つですが、デメリットにも注意が必要です。
最たるものとして、共有不動産の売却やリフォームの際は、所有者全員の同意が必要となります。
誰か1人でも同意しない場合は誰も手を付けることができないのに固定資産税や
管理費だけがかかる「負動産(ふどうさん)」になってしまいます。
また、相続人間の仲がよくても、やがてその相続人にも相続が発生します。
特に兄弟姉妹で共有した場合は、次第に遠い親族と共有していくことになり、しかもその数は増えていきます。
そうなると、もはや誰が所有者なのかすら把握できなくなっていきます。
こうならないためには、次のような方法が考えられます。
・換価分割…一旦不動産を1人が相続して売却し、売却代金を他の相続人に分配する
・代償分割…不動産を1人が相続する代わりに他の相続人にお金を渡す
・分筆…土地そのものを切り分けてから1人1筆ずつ相続する
あとで後悔しないように、不動産の相続は慎重に検討しましょう。