代替わりする際の負債の引き継ぎ
2022.12.19
事業承継でお困りの方
医院の代替わりの際、引き継ぐ資産・負債を検討しますが、その時に「借入金も引き継がなければいけないのか?」という質問をよく受けます。
結論としては、医院の経営者が医療法人なのか個人事業主なのかによって違います。
まず医療法人の場合は、代替わりをするということは実務的には代表権・経営権の承継を意味します。そして借入がある場合、その借主はその法人であって事業主自体は何も変わりませんので、借入金もそのまま引き継ぐことになります。また、先代(元理事長)がその借入の保証人になっている場合は、その個人保証の地位も後継者(新理事長)が引き継ぎます。
一方、医院を個人事業主として経営している場合は、借入金を引き継ぐ必要はありません。個人事業の場合は、手続き的には先代は「廃業」、後継者は「開業」という手続きとなり、借入をしている事業主自体が変更になりますので、後継者としては引き継ぐ義務はありません。
実務的には、設備投資による借入金残のパターンが多いため、先代としてはその設備を後継者へ売却もしくは賃貸することにより、その売却代金もしくは賃料で借入金を返済するといったケースが多いと思われます。
また、負債としては借入金の他に主なものとしてリース債務があります。リース物件をそのまま継続して使用したい場合は、そのリース契約の名義を先代から後継者に変更することができますので、リース会社に相談してすみやかに手続きをすることが必要となります。
もし後継者が継続使用しない場合は、解約という手続きになりますので、先代がその時点で未経過期間のリース料を一括で支払うことになります。