経営お役立ち情報 column

代替わり時に医院開設者をどうするか

2024.01.08
開業中の方 事業承継でお困りの方

親先生から子先生への代替わり時、医院開設者を親先生から子先生へ変更せず、親先生のままとする選択があります。子先生が院長として医院を経営し、親先生は医院開設者として医院の収入の税務申告を行います。どんなメリットがあるでしょうか。

①経費を親先生から支出できる

医院の名義が親先生のままなので、医院にかかる経費は親先生が支出することができます。例えば、医院の建て替えが発生したとします。医院の名義が子先生の場合、資金が足りなければ、親先生から贈与を受けることもあります。このとき、贈与の金額が多ければ、贈与税が発生してしまいますし、親先生から借入を受けた場合には、親先生へ返済の義務が発生します。医院の名義が親先生であれば、贈与や借入などは発生せず、そのまま親先生が支出することができます。親先生の資産状況によっては、相続財産の圧縮も見込めます。

 

②小規模宅地等の特例が利用できる

亡くなった人が、亡くなる直前に営んでいた事業を、相続人が引き継いだ場合、相続する土地の評価額が最大8割も減少する「小規模宅地等の特例」という制度があります。親先生が亡くなる直前まで医院の名義人で、医院の敷地であった土地を子先生が相続すれば、この特例を利用することができます。

 

 医院の名義を親先生のままとすることで、将来の相続税対策を考えることができます。親先生の資産状況によっても選択は異なると思います。名義変更は1度だけですので、タイミングがとても重要となります。