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パターン別でみる承継後の税金

2021.11.01
開業中の方 事業承継でお困りの方

親から子への承継(親族間の承継)、第3者へのM&Aのように医院を承継する方法は2つあります。別の地域で開業するのか、設備新設のための資金を親に出してもらうのか等事前に検討するべきことは多数ありますが、承継した後にかかる税金のことも考えるとより選択肢が洗練されてくるのではないでしょうか。

今回は承継にかかる税金についてご紹介したいと思います。

 

①生前の承継(所得税・贈与税・消費税)

 親先生が医院を経営中、もしくは勇退後に承継する場合は設備を子先生に移す際の対価をどうするかで変わってきます。

新規に購入するのと同じように親先生にお金を渡す場合、親先生には譲渡所得が発生します。

また、親先生が課税事業者であった場合、受け取った対価には消費税がかかります。子先生は既に別の医院を立ち上げている場合以外は特に納付するべき税金は発生しません。

 一方、資金の移動なしで設備を引き渡した場合、親先生から子先生へ時価で贈与したとみなされます。

また消費税も時価に対してかかってしまうので注意が必要です。

<まとめ>

A.対価ありで引き渡しの場合に納税義務が発生する者

 

親先生

子先生

所得税

×

消費税

×

 

B.対価なしで引き渡しの場合に納税義務が発生する者

 

親先生

子先生

贈与税

×

消費税

×

 

②相続発生後の承継(相続税)

 承継前に親先生が亡くなった場合、設備等一式を相続することになります。相続人の数や相続財産の合計によって変わりますが、相続人である子先生には財産価格に応じて相続税が発生します。なおこの相続で所得税や消費税が発生することはありません。ただし、親先生が例年消費税を納めていた場合、承継後1年目の確定申告で消費税の納税義務が発生することがあるので、事前に確認しておきましょう。

 

<まとめ>

 

子先生

相続税

消費税

×     ※確定申告時要注意

 

③M&A(所得税・消費税)

 第3者へ医院を売買する場合、相手が個人でも法人でも異なる点はありません。親先生が生前承継を行うことと同じように所得税と消費税が発生します。

<まとめ>

 

先生

所得税

消費税

 

どうしても生前に贈与しておきたいといったようにすでに方法が決まっている以外は、承継方法の難しさに加えて実際に行った際に税額が得になるかどうかについても考えてみましょう。