M&Aによる承継開業と営業権
M&Aは従来からの大手仲介会社に加え、昨今は金融機関も収益の柱と位置付け、マッチングに精力的に取り組んでいます。
弊社のお客様の歯科医院も、M&Aで歯科医院を売却してくださいとのDMが毎週のように届いているようです。
弊社の開業相談でも、少しずつ承継案件の相談の割合が増えてきました。
同時に、承継の対価として妥当な金額がいくらか、という質問も受けます。
以前から、資産の時価+営業権(例えば売上の3か月分や利益の1年分)と計算されてきましたが、最近は営業権部分の金額が上昇傾向にあるように思います。
開業時の初期投資額が増えるにつれて、売上ゼロからの開業のリスクを取りたくないというニーズや、ある程度売り上げが好調で院長が元気なうちに承継させたいという売手側の事情も要因と思われます。
医院のM&Aの対価は、売り手と買い手が合意した金額が市場価格ですので、いくらで取引しても構わないのですが、承継対価を銀行の融資により支払う場合、その対価が適正かどうかの根拠資料を求められます。
最近、ご相談を受けた案件では、売り手と買い手が知り合い同士で、MA仲介業者を介さずに話を進めていました。
仲介業者を入れないメリットとしては、数百万円の仲介手数料が発生しないことですが、その反面、銀行に提出する対価の根拠となる計算資料もありません。
買い手が持っている情報は決算書の数値など限定的なものです。売り手が営業権(のれん)として金額を提示する場合には、「売り手としてはこう計算しました」という計算根拠がある方が、買い手の意思決定や資金調達がスムーズに進むでしょう。
なお、利益の6か月~2年分程度であれば問題なく回収できると銀行も判断されると思われますが、それ以上に金額が大きくなると、現在の売上の内訳や患者層の情報などその利益が問題なく今後も生み出せるかどうかの判断材料を求められる可能性が高いでしょう。
