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医療法人を買い取る際の留意点

2022.09.05
開業中の方 事業承継でお困りの方

医療法人の設立の承認には手間とコストがかかるなどハードルが高いために、後継者に困っている医療法人を買い取る、という手段で法人成りする方法もあります。

 

ただし、買取に際して資金の負担が発生する点には注意が必要です。

出資持分のある医療法人の売買(承継)を行う場合、出資者から出資持分を買い取る必要があります。

出資持分は利益の積立額に比例して財産としての価値が大きくなるので、医院の経営が好調で黒字経営が長いほど払い戻す金額も大きくなります。

 

どれだけ経営が好調な医院を引き継ぐとしても、まとまった金額を支払うというのでは買取後の経営に支障を来すことは間違いないでしょう。

 

また、出資持分を払い戻す以外の持分の処理方法は下記二つの方法があります。

①出資持分を放棄してもらう

②持分のない医療法人に移行する

 

どちらも売買(承継)を行う前に実施する必要があるため、買取前に対応してもらう必要があります。

どちらを行っても医療法人からすれば「出資持分を放棄された」(債務の免除を受けた)という経済的利益が発生するので、通常個人にのみ課される贈与税が特例的に適用され、医療法人について免除された払い戻し金額に応じて贈与税がかかります。

 

ただし、②については令和5年9月30日までであれば移行の税制優遇措置が適用され、税負担が軽減される免税特例が設けられています。

No.4441 医療法人の持分に係る経済的利益についての贈与税の税額控除の特例|国税庁 (nta.go.jp)

移行計画の策定など、十分な準備が必要にはなりますが後継者難の医療法人の購入を検討している先生には交渉の材料として切り出す好材料になるでしょう。