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相続税申告前に相続人が亡くなった場合

2025.01.22
相続税

相続税の申告期限は、相続があったことを知った日(多くの場合は亡くなった日)から10か月以内です。

遺言書がない場合はその間に相続人間で相続財産をどのように分割するかを決めなければなりません。

しかし、不幸にもその間に相続人の誰かが亡くなった場合、相続税の申告はどうすればよいのでしょうか。

 

 例として次のようなケースを考えてみましょう。

 被相続人:父A 令和6年7月1日死亡

 相続人:母B、長男C、次男D

 Bが令和6年12月8日死亡 Aの相続税申告書はこの日までに未提出

 

1. 申告義務・納税義務の承継

 相続税の申告が必要な人が、その申告期限前に申告書を提出せずに死亡した場合は、その申告義務と納税義務はその死亡した方の相続人に引き継がれます。

 Aの相続税の申告が必要な人はB、C、Dです。このうちB分の申告・納税はBの相続人であるCとDが共同で行う必要があります。

つまり、CとDは自身の申告・納税とともに、B分の申告・納税も行う必要があります。

また、Bも財産が多くて相続税がかかる場合は、CとDはBの相続税の申告・納税も必要になります。

 

2. 申告期限

 死亡した人が提出すべきだった相続税の申告書の申告期限は、その死亡から10か月延長されます。

今回の場合、Aの相続税の申告期限は通常令和7年5月1日になるところ、B分についてのみBの死亡から10か月後の令和7年10月8日に延長されます。

つまり、Bの相続税の申告期限と同じになることになります。一方、CとD分についてはこの延長がなく、通常通り令和7年5月1日になります。

 

3. 遺産分割協議書の書き方

 B、C、Dそれぞれにどの財産・債務を承継させるかを明記します。

「Bが承継する分は最終的にCかDのどちらかに行くのだから書く必要があるのか?」という疑問があるかもしれませんが、

Bが承継した分はBの遺産分割協議書作成時にBの相続財産に含めるので、明記させる必要があります。

そして、署名・押印はCとDの二人になりますが、Aの相続人とBの相続人を兼任していることを明示する必要があります。

 

4. 亡くなった相続人にどれだけ財産を承継させるべきか

 3.でも記載した通り、Bに承継させたとしても結局CとDのどちらかに行くので軽視されがちですが、相続税のことを考えると慎重に考える必要があります。

というのも、Bの相続税は、「Bが元々持っていた財産+Aから承継した財産」に対してかかります。

Bは配偶者なので、配偶者軽減の措置を使えばAの相続税は少なく済むかもしれませんが、多く承継するとBの相続税が高くなる可能性があります。

なぜなら、基礎控除の金額は(法定相続人が1人減る分)少なくなる上、配偶者軽減の措置は適用されないからです。

他にも小規模宅地等の特例が使える、使えないの問題が生じる可能性があります。

亡くなった方それぞれの財産の金額を考慮して、トータルの税負担が少なくなるように検討した上で分割協議を確定させた方がよいと考えます。

 

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