相続の直前に給与をもらった場合
亡くなる直前まで会社で勤務していた場合、最後の給与や死亡退職金は遺族(多くの場合は配偶者)に支給されます。今回は、こういったものが相続税申告ではどのように取り扱われるのかご説明します。
1. 最後の給与
亡くなった日と支給日の関係によって給与所得の対象になるか変わります。
例えば次の場合を考えます。
給与の締日と支給日:20日締め、当月末日支給
亡くなった日:4月10日
2月21日~3月20日分は支給日(3月31日)が亡くなった日よりも前ですので、給与所得の対象で源泉徴収されます(何らかの事情で亡くなった日時点で未払であっても同じです)。しかし、3月21日~4月10日分は支給日(4月30日)が亡くなった日よりも後ですので、給与所得の対象ではなく、源泉徴収はされません(住民税の特別徴収もありません)。
このような取り扱いがあるため、準確定申告を行う場合は、必ず勤務先から源泉徴収票を発行してもらうようにしましょう。また、いずれの場合も相続税申告では未収給与として手取額を相続財産に含めることを忘れないようにしましょう。
2. 死亡退職金
亡くなった後に3年以内に支給額が確定した退職金は、相続財産とみなされて相続税申告に含める必要があります。しかし、法定相続人1人あたり500万円の非課税限度額があります。例えば、法定相続人が配偶者と子2人であった場合は1,500万円までは非課税となります。こちらも亡くなった後に支給されるものですので、源泉徴収はされません。
受取人について、勤務先の就業規則で定められている場合(多くの企業では配偶者を受取人としています)は、その人が受け取ることになります。この場合、相続放棄をしていても受け取ることが可能です。就業規則がない場合や配偶者が既に亡くなっていて受取人が決まっていない場合は、遺産分割協議で誰がいくら受け取るかを決めることになります。