老人ホームの入居と介護認定のタイミングによる各種特例の適用関係
2023.05.24
相続税
被相続人が居住していた不動産に係る資産税の特例として、次の制度があります。
- 小規模宅地等の特例
相続開始の直前まで被相続人が居住していた土地について、一定面積まで相続税の評価額を80%減額する制度です。
- 空き家に係る譲渡所得の特別控除
相続開始の直前まで被相続人が居住していた土地・建物を、相続人が譲渡した際に、その譲渡所得から3,000万円を控除する制度です。
上記の制度は、「相続開始の直前まで被相続人が居住していた」という要件がありますが、要介護認定を受けて、相続開始時に老人ホームなどに入居していた場合には、老人ホームに入居するまで被相続人が居住していれば、制度の対象となる特例があります。
ただし、上記の(1)(2)で、制度の対象となる要介護認定を受けたタイミングが異なるため、注意が必要です。制度の対象となるための、要介護認定を受けたタイミングは次の通りです。
- 小規模宅地等の特例 … 相続開始の直前
- 空き家に係る譲渡所得の特別控除 … 老人ホームなどに入居する直前
つまり、制度を両方とも利用するためには、要介護認定を受けてから老人ホームなどに入居していなければいけません。
また、各制度によって、細かな要件が定められていますので、制度の利用をお考えの方は税理士や税務署へ一度ご相談することを推奨します。