農地の評価
今回は、相続財産の中に農地があった場合の評価についてご紹介します。
1. 農地の区分
農地は、農地法という法律により宅地への転用が制限されている一方、都市計画等により地価事情も異なることを考慮して、純農地・中間農地・市街化周辺農地・市街化農地の4種類に区分されます。どの区分に該当するかは、「全国農地ナビ」で検索するか自治体の農業委員会に問い合わせてみればわかります。
2. 評価額
純農地や中間農地である場合は、固定資産税評価額に一定の倍率を乗じた金額(倍率方式)となります。一方、市街地周辺農地や市街地農地の場合は、宅地とみなして評価した場合の価額からその農地を宅地に転用した場合にかかると見込まれる造成費を控除した金額で評価します。造成費は現況の傾斜度や地盤の固さなど現況をみて決定する必要があります。
3. 納税猶予の特例
評価額が国税庁の定める一定の売買価格(農業投資価格)を上回る場合は、一定の条件をもとに、納税額が一部猶予される特例があります。発行に時間のかかる必要書類もありますので、猶予を受けるか早めに検討しておきましょう。
4. 農業委員会への届出
通常の不動産であれば、所有者の移転手続きは登記をするだけで終わりますが、これとは別に農業委員会への届出が必要です。また、相続人以外への特定遺贈や死因贈与の場合は、相続登記の前に農業委員会の許可を得る必要があります。
農地は宅地と比べて評価額が小さいですので、税金の面で大きなインパクトになることは少ないですが、税金以外の手続きで時間を要することが多いです。他の財産同様、早めの準備を心掛けておくことには変わりがないと思っておいた方がよいでしょう。