賃貸併用住宅の場合の配偶者居住権
2021.08.18
相続税
令和元年度改正では、「配偶者居住権」の評価方法が定められ、令和2年4月1日以後の相続で取得する財産に係る相続税に適用されます。また賃貸併用住宅のように、建物の一部を賃貸している場合の配偶者居住権の評価方法も定められています。
配偶者居住権とは、残された配偶者が賃料の負担なく自宅に住み続けることができる権利です。配偶者居住権を設定すると、「配偶者居住権」と「建物所有権」、配偶者居住権に基づく「敷地利用権」、「敷地所有権」に区分され、それぞれの評価方法は下記のとおりとなります。
- 配偶者居住権=建物の時価A - 建物の時価A × { 残存耐用年数 - 配偶者居住権の存続年数 } / 残存耐用年数 ×複利現価率
- 建物所有権=建物の時価 - 配偶者居住権の価額
- 敷地利用権=土地等の時価A - 土地等の時価A × 複利現価率
- 敷地所有権=土地等の時価 - 敷地利用権の価額
建物の一部を賃貸している場合に設定された配偶者居住権は、上記評価方法の建物の
時価Aが「建物の時価 × 賃貸以外の部分の床面積 / 建物の床面積」となります。
按分計算により、賃貸部分を除外した建物の時価をベースに評価額を計算することになります。敷地利用権も同様に、土地等の時価Aが「土地等の時価 × 賃貸以外の部分の床面積 / 建物の床面積」となります。
一方で、建物の一部を賃貸している場合の建物所有権は按分計算が不要であり、賃貸部分を含めた建物の時価をベースに評価額を計算します。敷地所有権も同様に、賃貸部分を含めた土地等の時価をベースに計算します。