相続税の特例適用における「生計一(せいけいいつ)」とは
被相続人と相続人とが生計一か否かという点は相続税の申告において非常に重要なポイントとなります。ですが、相続税法において「生計一」について具体的にその内容を定められているわけではありません。他方、他の税目等の通達において、その内容が明示されています。
国税通則法基本通達46条関係 9(生計を一にする)
この条第2項第2号の「生計を一にする」とは、納税者と有無相助けて日常生活の資を共通にしていることをいい、納税者がその親族と起居をともにしていない場合においても、常に生活費、学資金、療養費等を支出して扶養しているときが含まれる。
なお、同一家屋に起居していても、互いに独立し、日常生活の資を共通にしていない親族は、生計を一にするものではない。
所得税基本通達 2-47(生計を一にするの意義)
法に規定する「生計を一にする」とは、必ずしも同一の家屋に起居していることをいうものではないから、次のような場合には、それぞれ次による。
(1)勤務、修学、療養等の都合上他の親族と日常の起居を共にしていない親族がいる場合であっても、次に掲げる場合に該当するときは、これらの親族は生計を一にするものとする。
イ 当該他の親族と日常の起居を共にしていない親族が、勤務、修学等の余暇には当該他の親族のもとで起居を共にすることを常例としている場合
ロ これらの親族間において、常に生活費、学資金、療養費等の送金が行われている場合
(2)親族が同一の家屋に起居している場合には、明らかに互いに独立した生活を営んでいると認められる場合を除き、これらの親族は生計を一にするものとする。
法人税基本通達 1-3-4(生計を一にすること)
令第4条第1項第5号(同族関係者の範囲)に規定する「生計を一にする」こととは、有無相助けて日常生活の資を共通にしていることをいうのであるから、必ずしも同居していることを必要としない。
通達の内容をみると、同じ家屋に住む場合には基本的に生計一であると考えられ、別居している場合には一定の要件を満たすことで生計一となる、と判断するということが推察されます。また、相続税法における生計一についても、過去の判例をみると大半が上記の通達の考え方をもとに判断されており、生活費としての金銭のやりとりの有無や、食費や光熱費等の生活費を共有している関係にあるかが判断材料とされています。したがって、生計一を証明するためには上記のような生活費のやりとりが預金等を経由して客観的にみえるようにしておくのが生計一の証明において重要といえます。