京都・からすま相続相談センター

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個人版 事業承継税制

2024.10.09
相続対策 相続税

今回は、個人で営んでいる事業を子どもに承継させたいときに是非とも検討したいことをご紹介します。

 こちらからお願いしているのだからタダで事業を渡したい…ところですが、タダで渡すと贈与税の問題が発生します。また、亡くなってから引き継ぐことになると相続税のことも考えなければなりません。そのような場合に贈与税や相続税を猶予・免除してくれる制度が「個人版事業承継税制」です。

 

おおまかな流れとしては次の通りです。

 

1. 事業承継の計画を都道府県に提出する

 後継者が「個人事業承継計画」を作成し、税理士等の認定経営革新等支援機関が所見を記載します。その後、確認申請を都道府県知事に提出します。

 

2. 特定事業用資産を後継者に贈与する

 特定事業用資産とは次のものが該当します。基本的には青色決算書に記載されている固定資産すべてと考えていただければよいと思われます。

 ・土地又は借地権 400㎡まで

 ・建物 床面積800㎡まで

 ・その他の減価償却資産

 ただし、不動産貸付業、駐車場業及び自転車駐車場業に供されるものは除きます。

 

3. 納税猶予制度の認定を受ける

 後継者は贈与を受けた年の翌年1月15日までに都道府県知事の「円滑方の認定」を請ける必要があります。

 

4. 税務署への提出

 後継者は贈与を受けた日から1カ月以内に開業届出書、2カ月以内に青色申告承認申請書を提出する必要があります。また、贈与を受けた日の翌年3月15日までに贈与税の申告書

を提出するとともに、一定の担保を提供する必要があります。これにより、特定事業用財産にかかる贈与税は猶予されていることになります。

 

5. 事業を継続している旨の届出書を3年ごとに税務署に提出する

 贈与税の申告書を提出したあとも、事業を継続している旨の届出を3年ごとに提出する必要があります。

 

6. 先代が亡くなった場合は、贈与税の免除の届出を税務署に提出する

この時点で贈与税としては支払わなくて済み、相続税の課税財産の対象に切り替わります。切り替わった相続税についてもその次の後継者が決まっていれば、同じように認定や届出を出すことで猶予や免除を受けることができます。

 

注意点としては次の通りです。

 

1. 不動産賃貸業には使えない

 上記の通り、特定事業用資産は不動産賃貸業に供されるものが除外されています。

 

2. 次の場合には猶予されていた贈与税が課される上に、利子が上乗せされる

 ・事業を承継している旨の届出書や免除の届出を提出期限までに提出しなかった場合

 ・特定事業用資産を免除の前に売却した場合

 ・後継者が免除の前に廃業したり、第三者に事業を譲渡した場合

 事業を承継することを前提に贈与税を猶予する制度ですので、途中で事業をやめる場合は当然ながら猶予が取り消されます。また、事業を継続している場合でも一定の期限までに届出書を提出しないとやはり取り消されるので注意しましょう。

 

 相続対策としては魅力的な制度である一方、手続きが複雑であるがゆえに後継者が理解していないとかえって損をしてしまうこともあります。活用の検討の是非も含め、お気軽にご相談ください。

 

  • 0120-888-211