認知症と遺言書作成
2023.08.09
相続対策
認知症とは、いろいろな原因で脳の細胞が死んでしまったり、働きが悪くなったためにさまざまな障害が起こり、生活するうえで支障が出ている状態をいいます。
相続において、高齢のため認知症になった遺言者は、遺言能力に支障が出ているため財産の分配を決める遺言書を作成することが困難になります。
ただ、認知症になったからといって、直ちに遺言能力がないと判断されるわけではありません。軽度な場合や一時的に回復している場合など、個々の症状によって判断されます。
しかしながら、相続人間で争いがおきている場合は、せっかく遺言者が遺言書を作成していても、遺言の有効性についてトラブルがおきてしまうことも十分に考えられます。できる限りトラブルは解消しておきたいものです。
まず遺言書の大前提は、認知症になる前の健康な状態で作成することです。
次にもし認知症の疑いがある場合は、遺言者の判断能力に関する医師の診断書を作成してもらったり、弁護士等の第三者の専門家に相談することをおすすめします。遺言能力があることを明確にしておきましょう。
さらに、自筆証書遺言ではなく公正証書遺言の作成を検討しましょう。公正証書遺言は、法務大臣から任命された公証人が依頼に基づき作成し、証人が2人以上立合うことで証拠力・安全性・確実性のある遺言書となります。
遺言者の遺言を有効なものとするためにも、早期の準備を心掛けましょう。