教育資金、結婚子育て資金の一括贈与
お子さんやお孫さんへ、教育資金・結婚資金・子育て資金を一括で贈与をした場合に、一定額までは贈与税が非課税となる制度があります。こちらの制度ですが、令和3年4月1日に改正が行われましたので、改正点にも触れながら、適用を受けるための要件や注意点を説明させて頂きます。
【要件】
1.贈与をする人
贈与を受ける人の直系尊属(父母や祖父母など)
2.贈与を受ける人
・教育資金の場合…30歳未満
・結婚子育て資金の場合…20歳以上50歳未満(R4.4.1からは18歳以上50歳未満)
※いずれの場合も贈与を受ける年の前年の所得が1,000万円を超えないこと
3.贈与の仕方
金融機関等と教育資金管理契約又は結婚子育て資金管理契約を結んで、一定の方法により贈与をする必要があります。
4.非課税限度額
・教育資金の場合…1,500万円
・結婚子育て資金の場合…1,000万円
【注意点や改正点】
1.管理残額の相続税課税
贈与をした人が死亡した場合には、贈与を受けた金額のうち、死亡時点で教育資金や結婚子育て資金の支払いに充てていなかった残額(管理残額といいます)に対して相続税が課税されます。
ただし、教育資金の贈与で、贈与をした人の死亡時に、贈与を受けた人が、23歳未満の場合又は学生である場合には管 理残額に相続税は課税されません。
教育資金の贈与に関しては、改正前では、死亡前3年以内の贈与にのみ、管理残額に相続税が課税されていました。しかし改正により、どの時点の贈与でも、管理残額に相続税が課税されるようになりました。
2.相続税の2割加算
遺産を取得した人が相続人でない孫などである場合、相続税の額が2割加算される制度があります。改正前では、管理残額は2割加算の対象外でしたが、改正により、2割加算の対象となりました。
【メリットとデメリット】
贈与税では、この一括贈与の制度を使わずとも、扶養義務者相互間(配偶者、直系血族、兄弟姉妹など)において生活費や教育費に充てるためにした贈与は非課税となる規定(以下、通常の非課税贈与といいます)があります。通常の非課税贈与と比べて、一括贈与の制度のメリットとデメリットを挙げていきます。
1.メリット
①費用の支払いがスムーズ
通常の非課税贈与ですと、学費や結婚費用の支払いを、贈与をする人が、費用が発生する度に、直接支払う必要があります。一方、一括贈与の制度の場合には、贈与を受けた人が支払うことができるため、いちいち贈与をする人に支払いをお願いする必要がなく、支払いがスムーズになります。
②年齢の小さな方への贈与ができる
年齢の小さな方への贈与として口座に金銭を振り込んだ場合、贈与を受けた人が自分の意思で贈与を受けた金銭の使用ができないと、贈与が成立していないとされます。一方で、一括贈与の制度では、確実に贈与を成立させることができます。
2.デメリット
①手続きが面倒
通常の非課税贈与ですと、贈与をする人が費用を直接払うだけで済み、特別な手続きは必要ありません。一方で、一括贈与の場合には、税務署への申告書の提出や、金融機関等への領収書の提出などの書類の提出が必要となります。また、金融機関等への手数料も発生します。
②管理残額への相続税課税
上記で説明をしましたが、管理残額への相続税課税というものがあります。贈与のタイミングなどを誤ると、税金を抑えるつもりが、逆に高くなってしまうということもありえます。
まとめとなりますが、お子さんやお孫さんへの贈与は上記以外にも様々な方法が存在します。どの方法を選択するのが良いのか、なかなか判断が難しいです。税理士法人イースリーパートナーズでは、ベストな方法を選択できるお手伝いをさせて頂いております。贈与税や相続税の対策について相談がございましたら、お気軽にお問合せ下さい。