タワーマンション購入は節税になるのか?
2021.06.09
相続対策
相続税
相続税において、宅地の評価は路線価などに基づいて算定されることが原則です。また、購入資金として借入をしていれば債務として控除することができますし、小規模宅地特例を適用して大幅に節税することが考えられます。
しかし、近年このような節税に対して、否認する裁決例が出ています。今回は、令和元年8月に東京地裁で出たものをご紹介します。
1. 事実関係
・相続開始2~3年前に合計約24億円のタワーマンション2棟を購入した。
・その際、購入資金として合計約10億円の借入れをした。
・相続税申告において、不動産は路線価方式により約3.3億円と評価、さらに借入金
10億円を債務控除し、小規模宅地特例を適用した結果、納税額は0円となった。
2. 判決
・不動産鑑定評価額の約13億円による評価が適正とされた。
・原告側は現在控訴中。
3. 根拠
・不動産の売買価額や鑑定評価額が路線価に対して4倍ほど乖離しており、租税負担の実質的な公平を著しく害することが明らかな「特別な事情」がある。
・被相続人は90歳を超えてから借入れを行っており、しかも銀行が作成した貸出稟議書
には、「相続税対策のため」と明記されており、明らかに相続税負担を減じる目的が
あった。
今回の裁決はあくまでも一例であり、いわゆる「タワマン節税」と呼ばれるすべての不動産投資が不可能になるという意味ではありません。しかしながら、金額が大きければ大きいほど、このようなリスクを慎重に検討する必要があります。