認知症になる前に
2018.01.16
相続対策
~民事信託~
相続対策のご相談を受ける中で、「認知症になっていて、意思決定ができないのですが・・・」とうケースがしばしばございます。
このようなケースでは、できる対策がものすごく限定されます。
積極的な対策としては、ほとんどできないと考えるべきかもしれません。
意思決定ができない状態では成年後見人を家庭裁判所に選任していただき、預金の出金などの手続きをしてもらうことになるのですが、成年後見人は財産を守ることに主眼を置いていいますので、贈与はもちろん、不動産の購入や売却もできません。
そのような事態になる前に、民事信託を活用すると財産の活用などの相続対策ができるようになります。
民事信託の活用例として「委託者」が「受託者」に財産の管理を委託する契約を締結します。
その場合に「受益権」という概念が出てきます。これはその財産から生まれる利益を得られる権利です。
もう少し具体的に言えば、父親が長男にこの不動産を好きにしていいよという契約をすることができます。ただしその不動産から得られる賃貸収入や売却収入は父親のものとなります。
なお、この信託契約を締結した段階では贈与税などの税金はかかりません(受益権が移ったときに贈与税の課税対象となります)が、不動産の信託の場合には登記の際に登録免許税がかかりますので、その点は注意が必要です。