税務署からのお尋ね文書
親や配偶者が亡くなって6~8カ月くらい経ったある日、税務署から「相続についてのお尋ね」という文書が突然送られてくることがあります。今回は、もしもこの文書が届いたらどう対応すればよいのかを解説します。
1. 税務署が亡くなったことを知っている理由
亡くなった場合、亡くなったことを知った日から7日以内に市町村に死亡届を提出しなければなりません。ところが相続税法58条の規定により、受理した市町村は亡くなった情報を税務署に通知しなければならないことになっています。
2. どういった人に届くのか
税務署は職権により、あらゆる情報を取得することができます。取得した情報に基づき、相続税の申告が必要と思われる規模の財産を生前に有していた人の推定相続人(法定相続人と推定される方)に届きます。ここでいう情報とは以下のようなものが挙げられます。
・過去の所得の履歴(確定申告や源泉徴収票、法定調書など)
・預金口座や証券口座の情報照会(金融機関から)
・固定資産課税台帳の照会(市町村から)
3. もし届いたら
お尋ねには財産の金額などを記載する欄があり、すべてを埋めると申告が必要かどうかがおおよそ判断できます。回答を提出する義務は法的にはありませんが、無視すると後日税務調査に発展する確率が高くなるといわれていますので、申告が不要であることが明らかであっても提出しておくべきです。ただし、虚偽の記載をすると税務調査の際に重加算税を課される可能性があるので、正直に記載して提出しましょう。なお、既に相続税の申告を進めている場合は提出する必要はありません。
4. 申告が必要だと判明した場合
届いた時点で申告期限(相続発生から10カ月以内)が迫っていることが多いですので、一刻も早く税理士に相談されることをお勧めします。判明した時点や財産の内容によっては申告期限に間に合わない場合もありますが、少しでも早く申告すれば、延滞税などのペナルティを最小限で済ませることができます。
また、小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減は、申告することではじめて適用を受けることができます。「申告しなくても0円」と「申告して0円」では意味が全く違います。お尋ねが来るまで気づかなかった、というケースもよくあります。人づてで聞いた、などの断片的な知識で判断しないようによく注意しましょう。