連帯納税義務にご注意を
法人税や所得税などは、申告書を提出し、かつそこに記載した金額を納付したら手続きが完了となります。ところが、相続税の場合は、納税者(=相続人)が複数いることが通常であるため、全員が納付しないと完了したことになりません。では、誰か一人でも滞納するとどうなるか?この場合、他の相続人が連帯責任で納付しなければなりません。これを連帯納税義務といいます。
1. どういう場合に連帯納税義務が生じるのか
納付期限を超えた段階で、本来の納税者に督促状が送られます。そこから1か月たっても完納されない場合に、他の相続人にお知らせが来て、そこで連帯納税義務が生じます。それでも無視し続けると、最終的には財産の差押えの手続きが取られます。
2. 誰がいくらずつ納付するのか
相続人全員で連帯責任を負うことになります。基本的には、滞納額を相続人の人数で割った金額を納付しなければなりません。ここには納付が遅れた分、利子税も上乗せされます。ただし、相続により取得した財産の価額の範囲内で負担することになります。なお、この分の延納は認められません。
3. 誰かが立て替えたときの注意点
財産の分け方や相続人の経済状況によっては、誰かが立て替えて納付せざるをえないという場合も考えられます。あとで精算していれば問題ありませんが、放っておくと立て替えた分を贈与したとみなされ、贈与税が発生するリスクがあります。税金が別の税金を呼び込む事態になりますので、注意しましょう。
この制度が適用されるということは、全体では納付すべき金額が増えることを意味し、明らかに不利益を被るだけです。このような状況にならないようにするには、申告したらすぐに全員が納税を行うようにし、きちんと確認を取ることに尽きます。「自分さえよければ…」とは絶対に考えないようにしましょう。