相続に伴う事業承継
2018.12.23
相続手続
相続が発生した場合の税金について考えるにあたり、相続税のみに目が行きがちですが、消費税とは無縁だった相続人が消費税の課税事業者となってしまうケースがありますので、消費税についても気に掛ける必要があります。
消費税の課税事業者に該当するのは、原則としてその者の2年前の課税売上高が1,000万円を超える場合です。
相続が発生した場合も同じように判定してよいのでしょうか。
答えはNOです。
相続が発生し事業を承継した場合には、その者と被相続人の2年前の課税売上高の合計額が1,000万円超か否かで判定します。
例えば、今まで給与所得のみで課税売上高がなく消費税を納めたこともなかった相続人が、相続に伴い被相続人である父親の不動産事業を承継した場合、父親の2年前の課税売上高が1,000万円を超えていれば、事業を承継した相続人は消費税の課税事業者となってしまうのです。
相続に伴う事業承継に反し、相続前に事業承継を行う場合は、被相続人の2年前の課税売上高が1,000万円超か否かに問わず、原則として2年間は消費税を納める必要がありません。
消費税だけを考慮すると、相続発生前に事業承継を行うほうが得なのではないか、と思われる方がいらっしゃるかもしれませんが、相続前に事業承継を行うと贈与税が発生する可能性がありますし、土地の評価額から最大80%減額できる相続税の優遇措置が使えなくなる場合もあります。贈与税・相続税・消費税などの税金をトータルに考慮する必要があるので、事業承継を考える際には税理士に相談することをおすすめします。