暗号資産と相続税
イースリーパートナーズではお蔭様で毎年多くの相続税申告のご依頼をいただいております。
特徴がある申告案件も少なくないのですが、先日はじめて暗号資産が相続財産に含まれる申告案件がありました。
一つの事業として本格的に運用していた人、
小遣いが入ればいい程度に運用していた人、
友人に勧められて口座を開いたものの殆ど運用してなかった人と、
生前の使い道は様々だったと思われますが、
相続税においては、生前どのような使い道をしていたかどうかに関係なく相続財産に含めないといけません。
1. 相続税ではどのように評価されるか
評価通達には具体的な定めがありませんが、株式や投資信託と同様に、「暗号資産交換業者が公表する課税時期における取引価格」で評価します。
多くの場合、日本の暗号資産交換業者で開設した口座で運用していると思われますが、
その場合は相続発生日時点の残高証明書を発行してもらい、そこに記載された金額で評価すれば問題ありません。
2. 暗号資産を持っているかどうかの見分け方
相続人に生前から伝えていた場合や暗号資産の儲けを確定申告していた場合は問題ありませんが、
そうでない場合基本的にネット上でしか運用していることが確認できないため、
相続財産として存在していることを見落とす可能性があります。
しかし、次のような場合は、暗号資産を持っていたことを疑うべきと考えます。
・暗号資産交換業者からの封筒が届いていた
・被相続人の預金で暗号資産交換業者への振込、または入金があった
・暗号資産投資を勧めるパンフレットやダイレクトメールが残っていた
3. 相続後の手続き
これも株式や投資信託と同様に、被相続人の口座を解約する必要があります。
暗号資産交換業者に連絡の上、必要書類を確認するようにしましょう。
承継する相続人が口座を持っていなければ、新たに口座開設も必要になります。
暗号資産は目に見えない財産ですので、相続人からすれば存在に気が付かない可能性が高くなります。
しかし、近年国税庁では暗号資産の情報収集を国内外問わず積極的に行っています。
現在は所得税の申告漏れ捕捉が主な活用法とみられますが、
将来的には相続税においても積極的に活用されることになると想定されます。