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歯科医でも使える税額控除(所得拡大促進税制)

2022.03.07
開業中の方

 節税のために医療法人成りやMS法人の活用を提案されたけど、手続きや手間がかかりすぎてやりたくない。かといって小規模企業共済やふるさと納税なんかは既にやっていて、他に節税なんて思いつかないし・・・

そんなことをお思いの先生はいらっしゃらないでしょうか。今回はまだお伝えしていない節税方法をご説明したいと思います。

 所得税を減らす方法は①経費を使って事業所得を減らす②社会保険や生命保険を支払い所得控除を増やす、という方法が良く挙げられます。小規模企業共済やふるさと納税は②に該当します。

実はもう一つ税額を下げる方法があるのをご存じでしょうか。「住宅ローン控除」という名前は誰もが耳にしたと思いますが、この控除が該当する項目が「税額控除」というものです。この税額控除は住宅ローンがある場合だけでなく、経営増進のために最新設備を購入した場合や(経営力強化税制)、配当所得がある場合に一定の税額控除を受けることができるものです。

その他に従業員の給与を上げることで税額控除を受けられる場合があります。これが所得拡大促進税制と言われるものです。

 

 簡単に説明すると、①親族を除いた給与支払額が前年を上回っている、②前年の1月から勤務している雇用保険の被保険者を抽出した際に、前年よりも給与支払額が1.5%増加している、という要件を満たすと前年より増加した給与の10%を所得税から直接控除できます。また、来年からは①親族を除いた給与支払額が前年を上回っている、という要件のみで控除が可能となります。

 この制度のメリットは、従業員への給与を増加することで従業員本人の満足度が上がる点と、給与の増加による事業所得の減少と税額控除の2種類の節税メリットがあるという点です。

 注意点として、過去にこの税制を適用していない場合に更正の請求で申告をやり直そうと思ってもできません。また、この制度自体は平成24年から開始していますが、要件や控除額の改正が頻繁に起こってきました。今回は令和5年の確定申告まで使えることになっていますが、令和6年にこの制度が使えるか、要件が同じかどうかは現状では分かりません。

 他にもより控除額が増える要件がありますが、長くなるので今回は割愛させていただきます。

現在ご自身で確定申告をされている方でこの所得拡大促進税制を知らなかった先生は、一度給与を調べてみてはいかがでしょうか。申告書の書き方で分からないことがありましたら是非お問い合わせください。