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産休・育休制度

2021.12.13
開業中の方

人事労務で事業主が知っておくべきものの1つに「産休・育休制度」があります。

特にクリニックは女性スタッフが多い職場であり、出産後も仕事復帰を希望する人が増えてきていますので、事前に制度をきちんと理解しておく必要があります。

 

 まず「産休」とは、正確には「産前休業」と「産後休業」を合わせた休暇をいいます。

「産前休業」は出産予定日の6週間(42日)前(双子などの多胎の場合は14週間(98日)前)からスタッフ本人の申し出により取ることができる休暇です。こちらは任意ですので、本人の希望があれば出産前日まで働いてもらうことも可能です。

一方「産後休業」は出産翌日から8週間(56日)の休暇をいい、こちらは法律上取得させることが義務付けられているためこの間は働かせることはできません。ただし例外として、スタッフ本人の希望により、産後6週間(42日)を過ぎかつ医師の許可がある場合は勤務してもよいとなっています。

 

 また「育休」とは「育児休業」のことをいい、基本的に産後休業(産後8週間)後、子供が1歳の誕生日を迎える前日まで期間(保育園が見つからないなど特別な事情がある場合は1歳6か月もしくは2歳までの延長あり。)で、スタッフ本人が申し出た期間は、休ませなければいけません。

その育休の取得対象者は下記となります。

・同一の事業主に引き続き雇用された期間が1年以上であること

・子供が1歳6か月(2歳までの再延長をする場合は2歳)になる日までに、雇用契約期間の満了や雇用契約が更新されないことが明らかでないこと

 

 なお、産休・育休中の給与の支払有無は自由であるため、実状としては無給にしている医院が多いようです。

その代わりスタッフは健康保険組合から出産育児一時金や出産手当金(支給の有無や要件は組合によって異なります。)、雇用保険加入者の場合はハローワークから育児休業給付金をもらうことができます。

 

 事業主にとって悩ましいのは、スタッフが産休・育休中の穴埋めです。

現実的には代替要員となる短期雇用者を見つけるのが難しく、また通常と同じように新規に雇ってしまうと当スタッフが復帰してきたときに人員オーバーになってしまう可能性もあり、コストアップも否めません。

 結局のところ、現在いるスタッフのシフト等をうまくやりくりをして進めていくしかないのですが、両立支援助成金など産休育休に関する補助金もありますので、社労士などの専門家に相談してみるのも1つです。