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事業承継~第三者承継について~

2021.09.06
開業中の方 事業承継でお困りの方

 事業承継の種類としては大きく分けて「親子承継」と「第三者承継」があります。今回はそのうち「第三者承継」を取り上げます。

「第三者承継」とは子以外の第三者に承継するケースですが、その中でも下記2パターンが考えられます。

①自院の勤務医や後輩ドクターなど、知り合いに承継してもらうケース

②M&A

 

 まず①については、もともと信頼関係があり、また医院の診療方針・経営方針を理解している場合も多いため、引継ぎがしやすいというのがあります。

もしそれが自院の勤務医である場合は、後継者候補として意識し始めてから経営についても実践的に教えることができ、お互い安心感があるうえで承継を進められます。

 

 次に②については、文字通り言えば「Merger And Acquisitions(合併と買収)」ですが、全くの第三者に医院を売却するケースです。

売却先を金融機関等に紹介してもらう場合もありますが、M&Aを専門としている仲介業者を介して行うことが多いのではないでしょうか。

 

 最近M&A仲介業者も増えてきましたが、そういった仲介業者は全国の買い手候補情報を持っているため第三者承継の幅が広がります。その特徴としては下記です。

 

・経営情報提供の必要性

 当たり前のことですが、経営情報などをすべてその業者に提供する必要があります。

大まかな流れとしては、「その仲介業者へ登録・資料提供・評価」→「マッチング」→「面談」→「仮契約」→「買い手側が調査・検討」→「本契約・譲渡実行決済」といった形が多いようですが、「マッチング」は買い手の条件に合うことが重要なので、場合によっては買い手がなかなかつかず時間がかかることも大いにありえます。

 

・歯科医院の特殊性

 M&Aを行うにあたって一般の会社と違うのは、お客様が「消費者」でなく「患者」であることです。

よって、買い手側(承継する側)としては、もともと保険診療中心の医院であれば地域患者の引継ぎは見込めるが、自由診療中心の医院であった場合は患者の引き継ぎが難しいかも…といったリスクも考えられます。

 

・仲介業者への手数料(コスト)がかかる

 金融機関等から紹介してもらうのとは違い、業者を介した場合はコストがかかります。

大体は、仮契約時に中間手数料(定額)、譲渡実行決済後に成約手数料(成功報酬)というパターンが多いようです。

成約手数料が成功報酬の場合は、例えば「譲渡価額×〇%+○○万円」といったケースもあり多額のコストになることもありえますので、それも承継計画の中に含めて進める必要があります。

 

 

 第三者への事業承継の目的は大きく分けて2つあげられ、1つは「既存の患者さんをその後もしっかり診ていける環境を整えること」、もう1つは「自身のリタイア後の老後資金の確保」です。

そのためにも、専門家の意見も聞きながらあらゆる手段を活用して、計画的に進めていくことが重要です。