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自分の代で終わりの医院を医療法人化すべきか!?

2020.11.02
開業中の方

「子供は歯科医にならなかったし、この医院は自分の代で終わり。それでも医療法人にした方がいいかな?」

「歯科に進んだ子供は、別で開業することになった。今さら医療法人にする意味あるのかな」

医療法人化を検討される先生方から、よく受ける質問です。

 

事案ごとに事情や状況は異なるのでしょうが、間違いなく言えることは

「子供がいても継いでくれるとは限らない」

ということです。

歯科医にならない場合もあるでしょうし、歯科医になったとしても、承継せずに別で開業したり、大規模医療法人でサラリーマン院長をするかもしれません。

また、承継する段階まで自分が医院を盛況に維持できるという保証もありません。

 

ですから、自分が経営している期間に医療法人にする理由やメリットがあるのであれば、後継のことは考えずに法人化して良いでしょう。

 <医療法人化のタイミング>

 

以前は、一度法人化すると、簡単に閉院できず行政から後継者を探すように指導されると言われていましたが、現在は、必ずしもそのような対応では無いようです。やむを得ない場合には、医療法人を解散することも許容されているようです。

 

医療法人を解散する際には、現在の制度では残った資産を他の医療法人や国に寄付することになります。順調に利益が出ている場合には、税率が高くともある程度の理事報酬を取って、医療法人の資産のコントロールをしておくことが必要です。

 

万が一、理事長が急にお亡くなりになるような場合でも、遺族に死亡退職金として支払い、資産を遺族に残すことができます。

死亡退職金の目安としては、月額報酬×勤続年数×3(功績倍率)が目安になります。またこれと別で弔慰金を支払うことや、業務上の死亡であれば退職金を割り増すことも可能でしょう。

また、配偶者等の家族も理事として診療や経営に参画している場合には、解散に際し退職し、退職金を受け取ることが可能です。

これらを組み合わせて医療法人の財産をゼロにできるようであれば、問題ないでしょう。

 

なお、資産よりも負債(リース債務や借入金)の方が多いような場合には、医療法人を清算しづらくなります。万が一の際のために生命保険に加入するなど返済に備えることが必要でしょう。