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治療費返還を要求されたときの対応

2018.12.05
開業中の方

患者からのクレームに頭を悩ませる先生方も多いかと思いますが、特に治療内容に不満を訴え、金銭の返還を求められるといったクレームは、場合によってはクリニック経営に大きな悪影響を及ぼしかねないので、適切に対応したいものです。

患者から治療費返還を求められた場合、まずは院長が対応し、患者の不満をしっかり聞き取りましょう。その際、状況に応じて録音などの対応を取っておくことをお勧めします。また、その日に結論を出さず、ひとまずは患者の話を聞くだけにし、次回の日付けを確約して一度帰宅してもらいましょう。次回の約束まであまり長い時間を空けず、また、しっかり準備できるような時間を確保できるような日程で調整してみてください。次回の話し合いまでに、患者の不満を充分に理解したうえで、今後の改善策を検討してください。患者に改善策の提示をしたうえで、誠意をもって謝罪をすれば多くのケースでは患者の納得を得られるはずです。

それでも患者の納得を得られない場合は、歯科医師会に相談してみましょう。歯科医師会には、医事紛争処理部門や顧問弁護士がいますので、大きなトラブルへの発展を防ぐことができます。状況によっては、返金対応せざるを得ない場合もありますが、まずは安易に返金に応ずることなく誠意ある姿勢で対応しましょう。

なお、治療や料金に対するクレームの主な要因として、「患者への説明不足」が挙げられます。口頭だけでの説明では患者の理解も充分に得られないことが多いので、治療の説明パンフレットや料金表などを作成して患者にわかりやすく説明すると、クレーム発生を未然に防ぐことができます。また、スタッフに対してもクレーム対応のマニュアルを作成するとよいでしょう。クレームがあった都度改善を図り、ミーティング時にスタッフ全員で共有することも非常に大切です。

患者クレームは頭を悩ます問題ですが、適切に対応すればクレーム患者がかかりつけ患者になった事例も数多く見られます。クレームには真摯に対応し、自院の改善に結びつけ、より良いクリニックに変えていきましょう。