医療法人成りのタイミング
法人にすべきかどうか考えたいけれど、何を基準にすべきかが分からない…
そういった場合の考え方について記載させていただきます。
〇個人の税率が高くなってきた場合
個人事業主の場合、所得税率は累進課税制なので医院の利益(所得)が増えるにつれて税率が上がり、最大で45%になります。
これに加えて、住民税等も別途10%かかってきますので、所得の半分以上を納税することになります。
法人税等は基本的に所得の30%程度が目安になりますので、税金だけでも約25%は税率差によって余剰資金が生まれます。
所得が1800万円以上になると所得税率が40%になりますので、所得がそれぐらいになってきた場合には法人成りについて検討してみるのもいいでしょう。
〇先生がご勇退を考えている場合
先生がご勇退を視野に入れており、親族を跡継ぎとして想定されている場合についても法人成りのタイミングの一つとして挙げられます。
個人事業主同士の引継ぎであれば先生も後継者様も多方面に届出をする必要がある一方、法人成りすれば理事長の変更届出のみで足り、スムーズに引き継ぐことが出来ます。
更に、医療法人の理事について相続が発生した場合でも、出資持分のない医療法人であれば
医療法人の財産は相続財産にはならないため、キャッシュアウトを抑えて医院を引継ぐことができます。
法人成りすることで、税金や手続き上のメリットを享受できる反面、デメリットも存在します。
まずは、社会保険への加入義務が強制になるところです。
歯科医師国保の継続は可能ですが、厚生年金に加入しなければならず、保険料負担が法人とスタッフで折半であるため、スタッフの人数や人件費に応じて支出も増えます。
十分に吟味する必要があるでしょう。
また、出資持分のない医療法人の場合、法人を解散した際の財産は国に帰属することになります。
そのため、医院を閉鎖する際には計画的に進めることが重要です。