親から医院を承継する際に移転するべきか
単純に親の医院を承継する際に、別の場所に移転した方がいいのかリニューアルした方がいいのかという問題があります。今回は承継して移転する際の検討ポイントについてご紹介します。
・リニューアルするよりも費用が抑えられるか
親の代で長期に渡って医院を続けていた場合、昔の建築基準で建てられたことによる弊害が表れてきます。
例えば壁に亀裂が出ている場合、見栄えもそうですが耐震性が低く地震で倒壊してしまう危険性があるため見過ごすことができません。
また、当時のユニット等の大きさを目安に建築されているため、多機能なユニットや最新のCT等を導入しようとするとフロアの面積が足りない可能性も出てきます。
かといってリニューアルしようとすると結局新築と同じか、それ以上の費用がかかってしまうかもしれません。
この場合の移転承継は費用を抑えつつ、医院を新調できるメリットがあるといえます。
・患者が増える見込みはあるか
移転承継は新規開業と大まかな点は同じですが、患者と屋号を引き継ぐ点が新規開業と異なります。
患者は長年医院を続けていると年齢層が高くなっていきます。その場合単純な承継では患者を引き継げても将来的には患者数の減少が見込まれます。
移転承継を行うことで新しい地域での患者を取り込むことも可能になります。
一方で屋号については、近場への移転の方が今までのネームバリューを生かすことができます。
しかし、周りに歯科医院が増えてきて患者がそっちへ流れていくようなことがあれば移転承継のメリットを十分に受けることができなくなります。
このように患者と屋号それぞれの観点から検討することをお勧めします。
・現職のスタッフについて検討すること
医院の承継は建物、機材の他にスタッフも対象になります。継続期間が長い医院は患者と同じくスタッフの高齢化も懸念されます。
退職が近いスタッフ等がいる場合、移転して新しく採用すると将来的な人員不足の問題を解消でき、かつ子先生が1から教えることができます。
もちろん現職スタッフについても注意が必要です。
経営方針が親先生からガラッと変わってしまうと場合によってはスタッフに反発され退職されてしまうということにもなりかねません。
子先生とスタッフがお互いを理解しているようでしたら大丈夫だと思われますが、もし不安なようでしたら承継前にスタッフと話し合ってみるのも良いかもしれません。