訪問診療について
厚生労働省によると、現在日本には600万人以上の要介護認定を受けた患者がいるそうです。今後も高齢化社会の影響で患者数が増加していく可能性を考えると、自宅や老人ホームへ訪問し現地で診療を行う訪問診療の需要は上がっていくのではないかと予想されます。
今回は、その訪問診療の大まかな流れを説明したいと思います。
・患者を見つける方法
基本は現在通院されている患者からの紹介から始まることが多いです。自分で探して見るとすれば、まずは過去3年のカルテから80歳以上の方をリストアップしてみて電話でのリコールを行ってみましょう。ただし個人宅への訪問の場合、1件に対する移動時間が長すぎると採算が合わなくなる可能性が出てくるため、患者の所在地は確認しておきましょう。既に老人ホーム等の施設に入所している場合は、施設長の方と連携できるよう話し合っておきましょう。
・事前に準備するべきもの
最初の入り口としては、患者ご本人や親族、またはケアマネージャーから通院困難な理由を確認しましょう。これは通院可能な患者へは安易に医療保険を算定してはならないという規定が定められているためです。その後訪問日時の決定、必要書類の作成、器具や材料の準備を行いましょう。
・何をするのか
依頼内容の大部分は、入れ歯が壊れた等で食べられなくなったというものが多いです。
そのため外来患者と比べて特別難しいことをすることはあまりありません。ただし医院での診療と比べて多くの治療を行うことは難しいので、。最初は患者の状態を検査し、2回目以降から治療に取り掛かるのが良いでしょう。
検査の際に注意すべきこととして、訪問診療の対象となる患者の大部分は心筋梗塞や糖尿病等の全身疾患を有している可能性が高いため、必ずその情報は手に入れるようにしましょう。治療に取り掛かる際には事前の検査情報を元に同伴するスタッフの人数、持参する医療器具を揃えた上で万全の状態で行いましょう。
患者の状態の変化や慣れない場所での治療により予定通りにいかないことが起きたりしますが、少しでも前進すれば患者や介護者の方は納得してくれることがほとんどですので心配はいりません。より円滑な診療ができるよう患者や関係者とのコミュニケーションを築いていけるよう心がけましょう。