歯科医院税務調査のポイント(経費編)
歯科医院の税務調査においては、売上だけでなく経費についても必ずチェックされます。
特に注意すべきポイントは下記のとおりです。
(1)期末在庫の計上もれ
歯科の治療に使う材料が経費になるのは、実際に使われた分だけになります。使用せず在庫として残っているものは、棚卸資産として経費から除外する必要があります。
薬品など院内にあるものについては、きちんと棚卸を実施しているかと思いますが、技工所に預けている金属などの在庫については在庫として計上し忘れるケースが多くあります。技工所への預け在庫の計上もれには充分に注意しましょう。
また、技工代として経費計上したもののうち、患者への技工物の装着が翌年以降になるものも在庫として計上する必要があります。税務調査では、期末の業者の納品書の中からそれらしいものをピックアップしていつ患者に装着したかをチェックすることがありますので、期末の技工代については、患者への装着時期も確認した上で経費計上しましょう。
(2)人件費
特に配偶者や親族などに対する給与については必ず調査されます。調査内容としては主に、
「実際には業務に従事していないのに給与を取っているのではないか」、「従事している業務内容に対して支払っている金額が多額でないか」という点になります。
実際に働いていない親族に支払う給与はもちろん経費計上は認められませんし、実際業務に従事していたとしても不相当に高額な給与であれば、相当な金額を超える部分は経費計上できません。
親族のことになると、他のスタッフに比べて管理がいい加減になりがちですが、出勤簿やタイムカード、給与明細など親族の勤務実態を証明できる書類は必ず残しておきましょう。
また、金額についても、他のスタッフや同業者の給与と比較して妥当かどうかを検討し、不相当に高額にならないように気をつけましょう。
(3)交際費
経費の中でも交際費については、税務署側も特に経費性を疑う項目です。
調査官は「誰と」「何のために」交際費を支出したのかを必ず確認します。そこでしどろもどろになってしまうと、さらに調査官は疑いの目で見てきます。そうならないためにも、事前に領収証に①誰に対しての支出か ②何を目的として支出したのか をメモしておくことをお勧めします。