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歯科医院税務調査のポイント(売上編)

2019.05.01
開業中の方

売上は、税務調査においては必ず確認される最重要チェックポイントです。その中でも特に調査官が目を光らせてチェックするポイントのひとつとして、「自由診療収入」が挙げられます。ここでは、税務調査官が自由診療収入をチェックする際の手順とポイントについて解説します。

(1)現況確認調査

 具体的には、予約簿や日計表など窓口における原始記録の記載状況や担当者の確認、当日の現金監査と帳簿との照合などを行います。通常、進行年分は税務調査対象外ではありますが、税務当局は現況調査を最も有効な手法として重視しており、必ずと言っていいほど現況調査を行います。書類などを無防備に放置することなく、事前に整理整頓をしておきましょう。なお、進行年分の調査は違法ですので、調査対象期間の医業未収金等の確認以外は毅然と拒否するようにして下さい。

(2)自由診療に直結する原価や取引資料との照合

外注技工費や高級金属の仕入など自由診療に直結する仕入・外注費の請求書から、それらの仕入・外注に対応する自由診療収入が計上されているかをチェックします。仕入・外注費の請求書等の提示をしない場合は、反面調査に発展することもあるので注意が必要です。

(3)予約簿・日計表等の照合調査

 予約簿にその日の主な治療内容をメモしている場合があるかと思います。その中から自由診療と思われるものをピックアップし、その予約簿と日計表から患者名の照合を行い、収入の計上漏れがないかをチェックします。予約がキャンセルになったのに予約簿に記載されたままのものがあると、もちろん日計表には売上が計上されていないので、調査官は収入除外を疑いカルテの検査などにも発展する可能性があります。日頃から予約簿などの取り扱いには気をつけましょう。

(4)期末医業未収金の計上漏れに関する調査

 売上は発生主義で計上することが原則ですので、期中に現金主義で売上計上を行っている場合には、特に期末の未収金に注意を払う必要があります。例えば、労災や自賠責等の報酬は診療から入金までの期間が長期にわたり決算期をまたぐことがありますので、直近の調査年分の翌年2~3か月の入金について診療日の確認を行うことがあります。また、自費診療の場合、クレジットカードによる決済が多く、治療と入金のタイミングにズレが生じますので、売上の計上漏れには気をつけて下さい。

(5)その他

 上記以外にも下記のような内容をチェックしますので、充分に注意しましょう。

 ・歯科矯正収入の計上時期

・撤去済金属冠の売却収入の計上漏れはないか

・銀行入金履歴から自由診療収入とみなされる収入があるか