小規模企業共済の仕組み
節税対策としてよく挙げられる小規模企業共済(以下共済)ですが、将来どのように共済金がもらえるかご存知でしょうか。現状節税ができていると思っていても、最後の最後で思わぬ税金が発生する可能性があります。今回はその共済の仕組みについてお話しします。
掛金として共済に積み立てた資金は、最終的に一括もしくは分割で受け取ることができます(併用も可能です)が、受け取る共済金はその請求事由によって異なってきます。
以下は個人事業主の方が受け取る共済金の一覧です。
共済金の種類 |
請求事由 |
受取方法 |
所得区分
|
① 共済金A |
・個人事業を廃業した場合 ・共済契約者の方が亡くなられた場合 |
一括
分割 |
退職所得 (遺族が受け取る場合みなし相続財産) 公的年金等の雑所得 |
② 共済金B |
・老齢給付(65歳以上で180か月以上掛金を払い込んだ方) |
一括
分割 |
退職所得
公的年金等の雑所得 |
③ 準共済金 |
・個人事業を法人成りした結果、加入資格がなくなったため、解約をした場合 |
一括 |
退職所得 |
④ 解約手当金 |
・任意解約 ・機構解約(掛金を12か月以上滞納した場合) ・個人事業を法人成りした結果、加入資格はなくならなかったが、解約をした場合 |
一括 |
一時所得 (65歳以上での解約の場合退職所得) |
表のように、受取時の請求事由や受取方法で所得の扱いが異なり、税額計算に影響します。
例として200万円を一括で受け取ったと仮定すると、退職所得として受け取る場合5年間加入し続ければ所得税はかかりません。(加入年数×40万が受取額から控除されます。)
一方で一時所得として受け取ると75万円の所得が増加することとなり、所得税が発生する可能性があります。(受取額から50万を差し引いて2で割った金額が控除されます。)
そのため、やむを得ない事情がある以外での任意解約は税額面から見てあまりおすすめできません。
なお医療法人の役員は共済の加入資格がないため、法人成りの際に解約することになります。この場合③の準共済金を受け取ることになります。共済金を申請する際や、医療法人を検討されている場合の加入について十分注意しましょう。