経営お役立ち情報 column

歯科医院の残業代削減のポイント

2018.09.25
開業中の方

歯科医院の経費の中で大きな割合を占めるのが、材料技工代と人件費。スタッフの給料は売上の20%~30%を占めるコストです。

最近は採用時の給料も高くなる傾向にあり、昇給もさせていくと、以前より残業代の基礎となる1時間当たりの単価も高くなってきています。

今回は、残業代についての基礎知識と、残業代を削減するための方法をご紹介します。

 

(1)残業代は払わないといけない?

スタッフ側もサービス残業や有給取得についての権利意識が高くなっています。スタッフの確保や将来の未払残業リスクを考えると、適正な計算と支払による方が結果的に安定した経営が行えるでしょう。

(2)「定時」であっても残業代の計算が必要な場合

1日の勤務時間が8時間を超えると、超える部分は1.25倍の単価計算で給料を支払う必要があります。歯科医院では診療時間が8時間程度になることが多く、準備と片付けも入れると勤務時間が8時間を超えることはよくありますね。医院としては「定時」であっても、1日の勤務時間が8時間を超える部分は、割増での給料計算が必要となります。

例えば時給1,000円のパートタイマーが9時間勤務した場合であれば、8時間×1,000円+1時間×1,250円という計算になります。

(3)「固定残業手当」を活用する

 ②の計算は、正社員の場合もあてはまります。月給20万円と決めていても、毎日の勤務時間が8時間を超えていると、割増計算が必要になります。何も内訳を示さず、割増計算もしていなければあとで問題になるかもしれません。

例えば、給料18万円(8時間以内〇〇時間)+固定残業2万円(8時間超〇〇時間分)=20万円のように、8時間超分の時間と金額を計算して、あらかじめ割増計算していることを明記しておきましょう。

(4)「変形労働時間制」を活用する

変形労働時間制とは、1日単位ではなく、月単位や年単位で労働時間を計算する方法です。診療日が午前のみの曜日や、土曜の診療時間が短い場合に、労働時間を1か月単位で計算してトータルで法定労働時間を超えなければ、1日8時間を超えていても割増計算をしなくても構いません。

この制度を採用する場合は、労使協定の締結と労基署への提出が必要です。導入の際には労基署か、社会保険労務士などの専門家に相談しましょう。

 

以上、残業の基礎知識と残業代の削減方法をご紹介しました。

 

☝残業代の削減も大切ですが、残業を減らすことも大切です。無駄な仕事や2度手間になっている仕事を減らすなどの改善も必要です。また、設備投資によって削減できるのであれば、積極的に器具を購入するのもアリでしょう。

執筆者:森

兵庫県出身・大阪府立大学院卒
2006年 税理士法人イースリーパートナーズ入社
2008年 税理士登録
2016年 当社役員就任